パソコン工房新製品レビュー

14型で1kg切り、MILスペックかつCore Ultraな欲張りモバイルノート

~パソコン工房「STYLE-14FH128-U7-UH2X」

 ユニットコムが運営するPCショップのパソコン工房から、iiyamaブランドのCore Ultra搭載14型モバイルノート「STYLE-14FH128-U7-UH2X」が登場した。1kgを切る軽さでMILスペック準拠の耐久性を持ち、価格は16万9,800円から。ビジネス向けとしてバランスの良さそうなこのモデルを、早速レビューしていきたい。

良心的な価格設定の14型、ディスプレイの視認性も高い

STYLE-14FH128-U7-UH2X

 今回紹介するのは「STYLE-14FH128-U7-UH2X」というモデル。Core Ultra 7 155U(12コア14スレッド、最大4.8GHz、Processor Base Power 15W)を搭載する「STYLE∞」シリーズの14型モバイルノートだ。

Core Ultra 7 155Uを搭載

 省電力版である「U」付きのSKUということで、CPU内蔵のGPUは動作周波数とGPUコア数が抑えられたIntel Graphicsが搭載されている。グラフィックス性能はそこまで高くないかもしれないが、最新世代のCore Ultraらしい高いCPUパフォーマンスと、NPUによるAI処理の効率化は期待できるだろう。

 試用機のメモリは最大容量となる16GB(DDR5-4800)で、この場合の直販価格は17万7,001円となる。8GBとの価格差はわずかなので、注文時にアップグレードしておいて損はなさそうだ。

 ストレージは標準がNVMe M.2 SSDの500GB(最大2TB)だが、こちらも後々のソフトウェアインストールを考えると増量しておきたいところ。1TBにアップグレードしても+8,000円で、このあたりは良心的な価格設定に思える。

 ディスプレイ解像度はWUXGA(1,920×1,200ドット、最大60Hz)。縦にやや広いサイズであり、Webブラウジングやチャット、動画編集などクリエイティブ系の作業にも都合のよいアスペクト比となっている。ロゴなどが一切プリントされていない真っ黒な狭額縁で、没入感が高いためか14型ならではの広々としたデスクトップをより一層実感できるようだ。

明るく視認性の高いWUXGA解像度のディスプレイ

 パネル自体はオーソドックスな非光沢液晶ではあるが、視認性は高く感じられる。輝度を30~40%程度に抑えても室内であれば実用上まったく問題なく、バッテリ駆動時間をその分延ばせる可能性がある。

iiyama STYLE-14FH128-U7-UH2X
OSWindows 11 Home
CPUCore Ultra 7 155U
(12コア14スレッド、最大4.8GHz、Processor Base Power 15W)
GPUIntel Graphics(CPU内蔵)
メモリ16GB(DDR5-4800、最大16GB)
ストレージ500GB(NVMe M.2 SSD)
ディスプレイ14型液晶(1,920×1,200ドット、最大60Hz)
インターフェイスThunderbolt 4、USB 3.1 Type-C、USB 3.1、USB 3.0、HDMI出力、microSDカードスロット、ステレオスピーカー、ヘッドセット端子
通信機能Wi-Fi 6E、Bluetooth 5
カメラ200万画素
バッテリ駆動時間約7.8時間(動画再生時)
同梱品ACアダプタ(最大65W)
サイズ約312.5×223×23.3
重量約0.95kg

豊富なポート類と、ビジネスに最適なブラックボディ

 インターフェイス類は14型クラスとしては充実している。USB PD対応のThunderbolt 4ポートとUSB 3.1 Type-Cポートを1つずつ、さらにUSB Type-Aポート2つにHDMI出力、microSDカードスロットを備える。これなら周辺機器との接続で困ることはないはず。

左側面にUSB 3.1 Type-C、HDMI出力、USB 3.1、Thunderbolt 4。右端のスロットらしきものは塞がれている
右側面にヘッドセット端子、USB 3.0、microSDカードスロット

 ちなみにDisplayPort Alt Modeに対応するのはThunderbolt 4ポートのみ。手元の外付けSSDで試した限りでは、USB 3.2 Gen 2x2(20Gbps)での転送にも対応していた。もう1つのType-Cポートはスペックシートに記載はないが10Gbps対応のようだ。ネットワーク周りはWi-Fi 6E対応で、残念ながら有線LANは備えていない。

Thunderbolt 4ポートはDisplayPort Alt Mode対応
Thunderbolt 4ポートに接続したUSB 3.2 Gen 2x2対応の外付けSSDでは2GB/sを超える転送速度に
Webカメラは200万画素。Windows Helloの顔認証には対応しない

 本体重量は1kgを切っており、実測945gだった。約0.95kgと表記のあるスペック通りの数値だ。手で持ってみると確かに軽快感があり、外出時の機動力アップに貢献してくれる。同梱のACアダプタ(65W)も折りたたみ式プラグの小型・軽量タイプ(アダプタ本体重量は実測99g)で、モバイル性能の高さは疑いようがない。

本体重量は実測945g
Type-CのACアダプタも小型・軽量
ケーブルを除く重量は実測99g

 キーボードはキーピッチ約19mmで、ストローク浅め。キーに触れると若干のカチャカチャ音が気になるが、タイプ時にはそれほど響かせずに入力していける。キーレイアウトにイレギュラーなところはないが、個人的にはカーソルキー(上下左右キー)が主要な文字キーと同じ大きさなのが好印象だ。

キーボードまわり

 少しユニークなのは、「M」キーの右にある句読点など4つの記号キーのみ小さく、ストロークもさらに浅くなっているところ。この原稿の執筆に使った限りでは、キーサイズとストロークの違いがタイプのしやすさなどに影響するようには感じられなかったが、使い続けるうちに指先の触覚の違いから入力ミス低減などにつながるかもしれない。

句読点などのキーだけが他より小さく、ストロークがさらに浅い

 先ほど説明したディスプレイ面のシンプルさもそうだが、全体的に飾り気のない控え目でシックなボディとなっているのも印象的ではある。背面にiiyamaのロゴがある以外はほぼブラック1色で、わずかにパールが入っているようにも見えるマットな塗装の質感は高い。

iiyamaロゴのみのシンプルな天板

 ボディは軽量ながらも、米国防総省の物資調達基準として知られるMIL-STD-810H準拠のテストをクリアする高い耐久性を備えている。外観デザインやスペックから考えると、あちこちに持ち運んで使う(ビジネス)ユーザーにはまさにベストチョイスとなりそうなモデルではないか、という予感が強まる。

折りたたみ時の厚さは約23.3mm。ゴム脚を除くと20mmを切る
ディスプレイは180度まで開ける。対面の相手にプレゼンテーションするようなときにも便利

省電力版とは思えない実用性能っぷりを発揮

 PCパフォーマンスは、プリインストールされている「Control Center」でチューニングできる。最大性能を発揮する「パフォーマンス」モードと、性能と静音性を両立させる「エンターテイメント」モード、静音性重視の「静音」モードの3つから選択が可能だ。

動作モードや冷却ファンの速度を設定できる「Control Center」
バッテリの充電レベルを制限して長寿命化を図れる機能もある

 各モードで冷却ファンの速度を変更でき、「自動」や「最大」などが選べる。「最大」にするとさすがにファンノイズが耳障りなレベルだが、一般的な事務作業であれば「自動」で最適なファン速度になり、ほとんどの時間帯で静音動作してくれるはずだ。

 そのControl Centerで「パフォーマンス」モードかつファン速度「最大」に設定してベンチマークテストをしてみた結果が下記となる。

「Cinebench 2024」の結果
「PCMark 10」の結果
「PCMark 10 Applications」の結果

 省電力版のCore Ultraなので、そうではない「H」付きと比べればやはり性能面で抑え気味になっているところがある。とは言え予想以上の好結果だ。たとえばCinebench 2024は、マルチコアの結果こそ(コア数が少ないため)控えめだが、シングルコアの方は過去に計測したCore Ultra 9 185Hに匹敵する数値になっている。

 ビジネスシーンでの実用性能を想定したPCMark 10についても、「Digital Content Creation」のようなグラフィックを多用するようなテスト項目以外は、上位のCPUと比べても大きく見劣りしないレベルだ。

 反面、3Dグラフィックを扱うテストになるとCore Ultra 9比でおおむね半分のスコアとなっており、強み・弱みとしてはっきり分かれた形。

「3DMark」の結果
「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」の結果

 ゲームプレイの快適さにはあまり期待してはいけないが、実務アプリケーションのパフォーマンスに限れば「U」付きのCPUでなんら支障がない。NPUを活用するアプリケーションが今後増えてくれば、GPU部分の弱さを一定程度カバーできるようになることも考えられるだろう。

「CrystalDiskMark」による内蔵SSDのベンチマーク結果

 実使用時のバッテリ駆動時間もチェックしてみた。「静音」モード、ファン速度は「自動」とし、実用上問題ないと感じた画面輝度30%で、この記事執筆やExcelシートの編集、Webブラウジングなどを行なったところ、朝から夕方まで約6時間の稼働時間でバッテリ残量は20%余り。ギリギリまで使えばおそらく7.5~8時間あたりだろうか。

朝10時過ぎからスタートして途中1時間の休憩を挟み、計6時間ほど稼働。バッテリ残量は20%余りだった

 有線マウスやメモリなどのUSB機器を接続していたこと、途中軽いベンチマークテスト的な作業をしたことも影響してやや短めの稼働時間になった可能性もあるが、いずれにしても1日の業務時間はカバーできそう。外出が長時間になりそうで、かつ重い処理をこなす業務では、念のためコンパクトな付属ACアダプタを携帯しておくと安心だ。

最新性能、軽量、高耐久は魅力

 軽快に持ち運べる1kg切り、MILスペック準拠の堅牢性の高いボディに、Core Ultraの最新性能を備えている。ビジネスモバイルとして見ればパフォーマンスに不足はなく、外観はほぼブラックに統一されていることから扱いやすさもある。

 また、Core UltraなのでNPUも搭載されている。現状では対応アプリが少ないが、将来性という意味ではあっていて絶対に損はない機能だ。価格的にもお手頃で長く使えるモバイルノートとして、「STYLE-14FH128-U7-UH2X」はこの春の購入候補足り得る一台だ。

NPU対応ソフトはまだ少ないが、今後の拡大に期待がかかる