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XP世代のノートPCを処分したい! 「パソコンリサイクルセンター」を利用してみた

~無料でPCを処分でき、Amazonギフト券ももらえる

2014年まで親が使っていたPC。2007年に発売されたソニーの「VAIO type F VGN-FS52B」で、OSはWindows XP。保存の必要性がなくなり処分することにした

 2001年に施行された「資源有効利用促進法」により、家庭用のPCはメーカーによる回収と再資源化が義務付けられた。これにより、PCは粗大ゴミや不燃ゴミとして処分できず、やや面倒な手続きが必要となっている。

 そういった中、家庭用PCを簡単に、それも無料で処分してくれるサービスを提供する業者が存在している。筆者も仕事柄、手元に古いPCなどが残っており、どう処理しようかと考えていたのだが、この度、そういった業者を利用して不要なPCを処分してみた。

XP世代のノートPCを処分したい!

 2014年4月9日にWindows XPのサポートが終了し、それ以降新たなセキュリティ更新が行なわれなくなった。新たな脆弱性が発見されても修正されないため、そのまま利用し続けるのは非常に危険。一般のニュースでも危険性が大きく取り上げられたこともあって、2013年から2014年にかけてWindows XP PCの置き換えが広く行なわれた。読者の中にも、実際にPCを買い換えたという人がいるのではないだろうか。

 筆者もPCの買い換えを行なった。筆者自身は、既にWindows XP世代のPCは使っていなかったが、親の使っていたPCがWindows XP世代のノートPCだったのだ。そこで、2014年初頭にWindows 8.1搭載PCを購入して渡したが、元のPCは念のため保管しておいた。しかし、新PC購入から1年ほどが経過し、必要なデータがないとか、古いソフトを使わないとダメ、といった事態が発生しなかったこと、そして「古いPCが邪魔なので捨てて」と言われるようになったため、処分することにしたのだ。

 ところで、2003年10月以降に発売されたPCには、「PCリサイクルマーク」が貼られている。このPCリサイクルマークが貼られたPCでは、PCの回収やリサイクルにユーザーが追加費用を負担する必要はなく(PC購入時の代金にリサイクル料金が上乗せされている)、PCメーカーが責任を持って回収とリサイクルを行なうことになっている。PCメーカーに連絡し、手続きを行なえば、無料で回収と処分ができる。

 その手続きは、概ね次のような手順となる。まず、各メーカーのホームページや電話で回収の申し込みを行う。すると、数日後に発送用の伝票が送られてくる。それを、処分するPCを梱包した段ボール箱などに貼り付けて配送業者に引き渡す。これで、処分するPCがメーカーに送られ、処分とリサイクルが行なわれる。

 この手続き自体はそれほど面倒ではないが、発送用伝票が送られてくるまで1週間ほどかかるなど、ある程度時間が必要になる。また、回収の申し込みを行なう必要がある点も、少々面倒に感じる部分だ。

 そして、もし処分するPCが、PCリサイクルマークが貼られていない2003年10月以前に購入した製品だった場合には、回収・リサイクル費用を負担しなければならない場合もある。その金額は、ノートPCやデスクトップPC本体、液晶一体型PC、液晶ディスプレイなら1台につき3,000円+消費税、CRTディスプレイ一体型PCやCRTディスプレイなら1台につき4,000円+消費税となる。

2003年10月以降に発売されたPCは、発売メーカーが責任を持って回収とリサイクルを行なうことになった
このような「PCリサイクル」マークが貼られたPCであれば、メーカーに連絡することで、無償で回収とリサイクルが行なわれる※ソニーのサイトより
ホームページや電話でメーカーに連絡すると発送伝票が送られてきて、それを利用してPCを返送することになるが、発送伝票が送られるまでに1週間ぐらいかかるなど、手間と時間がかかる
PCリサイクルマークのないPCでは、リサイクル時に別途費用を負担する必要がある

連絡不要で着払い発送で送りつけるだけ、不要家電も処分してもらえる

 今回処分するPCはPCリサイクルマークが貼られたPCだったので、メーカーに連絡すれば無料で処分が可能。しかし、もっと簡単にPCを処分できる方法はないのだろうかと考えて色々調べていたところ目に留まったのが、株式会社いっとくが運営する「パソコンリサイクルセンター」だ。

 パソコンリサイクルセンターは、CRTディスプレイやCRT一体型PCなどを除き、無料でPCを処分してくれるサービスを提供している。例えば、ノートPC、デスクトップPC本体、液晶ディスプレイは、年式不問、型番不問、故障有無不問で無料処分が可能。処分する場合も事前連絡不要で、一方的に製品を送りつけるだけでいい。思い立ったらすぐに梱包して送るだけなので、楽だ。しかも、「着払い処分サービス」というサービスなら、文字通り着払いの宅配便で送ればいいので、配送料もかからない(着払い処分サービスは沖縄県からの発送のみ対象外となる)。

株式会社いっとくが運営する、無料でPCを処分できるリサイクルサービス「パソコンリサイクルセンター」
ノートPCやデスクトップPC、液晶ディスプレイは年式、型番、故障有無不問で無料で処分してもらえる。しかも沖縄県以外からは着払いで送ればよく、送料もかからない
PCや液晶ディスプレイ以外に、PC付属品や周辺機器、パーツ、家電製品なども無料で処分してくれる。不要なPCを送る場合に、いっしょに送ればいい
処分する製品を送る場合の事前連絡は不要。不要なPCをいきなり送りつけてOKだ

 また、不要になったPC周辺機器や家電製品なども無料でまとめて処分してくれるのも特徴。こちらに無料処分可能な製品が列挙されているが、そのほとんどがPC同様に年式不問、型番不問、故障有無不問となっている。これらは、処分するPCを入れるダンボールのすき間などに入れて送ればいい。

 そこで、筆者もPC以外に処分するものがないか探してみたところ、使わなくなったミシン、故障した小型の空気清浄機、使わなくなった電気炊飯器が出てきた。これらは以前から処分しようと思っていたものだが、粗大ゴミで処分する必要があり、面倒なので長期間放置しっぱなしだったものだ。ただ、ミシンは年式や型番不問で無料処分してもらえるリストに入っているので問題ないが、空気清浄機や電気炊飯器はリストに含まれない。

 この場合どうなるかと言うと、無料処分できないと判断された製品については、着払いで送り戻されるとのこと。例えば、木製製品、CRTディスプレイ/TV、ガラス製品、冷蔵庫、洗濯機については、先ほどの処分製品一覧ページの最後に記載されている通り、処分は受け付けておらず、送ったとしても着払いで送り返されてしまう。それ以外の製品でも無料処分対象と認められなければ、同様に着払いで送り返されるようなので、リストにないものをいきなり送るのは不安。そこで、パソコンリサイクルセンターに電話して確認したところ、空気清浄機や電気炊飯器も無料処分してもらえるとのことだった。これで安心して無料処分できる。これら以外にも、一覧にない家電製品で無料処分してもらえるものは多く存在すると思うので、不安な場合は問い合わせてみるといいだろう。

筆者宅で使わずにしまわれてままとなっていた古いミシン。ミシンも年式や型番不問で無料で処分してくれる
こちらは、壊れた空気清浄機。無料処分対象リストには書かれていなかったが、問い合わせたら無料処分してもらえるとのこと
電気炊飯器も無料処分してもらえるそうだ
木製製品、CRTディスプレイ/TV、ガラス製品、冷蔵庫、洗濯機は処分対象外。もし送ったとしても着払いで返送されるので注意

500円のAmazonギフト券がもらえるプランやオプションサービスも用意

 パソコンリサイクルセンターでは、もう1つお得な処分方法が用意されている。それは、12型以上のノートPC、デスクトップPC、17型以上の液晶ディスプレイを処分する場合に、1台につき500円のAmazonギフト券がもらえる「処分サービス+Amazonギフト券」というもの。ノートPCを1台だけ処分すると500円分のAmazonギフト券が、ノートPCが2台、デスクトップPCが1台、液晶ディスプレイが2台あって、それらを一度に処分する場合には2,500円分のAmazonギフト券がもらえることになる。

 ただし、このプランを利用するには、発送時の送料は元払いのみとなる。そのため、処分する対象商品の台数や大きさによっては送料をまかなえず、着払い発送の無料処分サービスの方がお得となる場合もある。しかし、ノートPCなど小さいものを1つにまとめて送れば、送料の元が取れるばかりか、逆にプラスになる場合もあり、かなりお得だ。

 なお、Amazonギフト券をもらうには、製品の外装に破損や損傷がないこと、HDD以外のパーツが取り外されていないこと、などいくつかの条件がある。ただ、破損もよほど大きなものでない限り、条件から外れることはなさそうだ。少なくとも、外装の汚れなどは問題にならないだろう。

 そのほかに、いくつかのオプションサービスも用意されている。PCを処分する場合に気になるのが内蔵HDDに保存されたデータの行方だ。パソコンリサイクルセンターでは、処分するPCが届いたら直ちに内蔵HDDを取り出して無料で消去しているという。それでも心配という人に対しては、HDDのデータを消去したことを証明する書類の発行サービス「データ消去証明書発行サービス」(2,100円)もオプションとして用意している。この書類には、HDDの消去作業を行なった日時、PCやHDDのシリアルナンバー、データ消去の方法が記載され、その内容を証明するものとなる。

 また、処分するPCからHDDを取り出して返却する「ハードディスク返却サービス」(4,200円)も用意。こちらは取り出したHDDをフォーマットせず、そのままの状態で返却してくれるため、保存しているデータは消えない。また、2,100円の追加料金で、取りだしたHDDをUSB外付けドライブ化して返却してもらうことも可能。保存データは消したくないが、自分で内蔵HDDを取り出せない場合などに便利なサービスだ。

 これら有料のオプションサービスを利用する場合には、発送した商品到着後に請求書が送られ、その料金を支払う。

 ちなみに、HDDデータ消去の方法は、データ消去専用マシンに取り出したHDDを接続し、データ消去ソフトを利用して全領域に0を書き込む「ゼロライト処理」を採用しているという。また、容量の少ないHDDは、物理的な破壊を行なったうえで素材リサイクルに出すとのこと。この処理はカメラで監視されている作業場で行なわれており、作業員が内容を閲覧したり取り出すことは一切ないそうだ。情報流出を防ぐ対策がきちんと取られているのは安心だ。それでも不安なら、発送前にHDDを自分で消去したり、HDDを取り出して発送してもいいとのこと。これなら、保存情報の流出は皆無だ。

「処分サービス+Amazonギフト券」では、PCや液晶ディスプレイなど、対象の処分製品1台ごとに500円のAmazonギフト券がもらえる
「処分サービス+Amazonギフト券」の対象製品は、12型以上のノートPC、デスクトップPC、17型以上の液晶ディスプレイのみで、元払いで発送する必要がある
処分PC内蔵のHDDは無料でデータ消去されるが、データ消去の証明書もオプションで発行してもらえる
録り出したHDDを消去せず返却してもらえるサービスも用意。USB外付けドライブ化して返送してもらうことも可能だ

「処分サービス+Amazonギフト券」と「データ消去証明書発行サービス」で処分を依頼

 というわけで、実際に処分しようとしていたノートPCをパソコンリサイクルセンターに送ってみた。今回は、ノートPC1台とその他の家電品3製品を処分することにしたため、本来なら着払い処分サービスが最もお得になる。ただ、それでは本当に送るだけで終わってしまうので、今回は「処分サービス+Amazonギフト券」を利用し、さらに「データ消去証明書発行サービス」も追加で申し込んでみることにした。

 これらサービスを利用する場合には、パソコンリサイクルセンターのホームページに用意されている、それぞれのサービスの申込書を印刷し、必要事項を記入して処分するPCに貼り付けて送ればいい。また、処分サービス+Amazonギフト券を利用する場合には、必ず元払いで発送する必要がある。間違って着払いで送ってしまった場合には、Amazonギフト券がもらえなくなるので要注意だ。

 処分製品の梱包は、商品をエアーキャップや新聞紙などで包んで、ダンボールに詰めるように指示されている。発送用のダンボールは、家にある不要なものを使えばいいし、もしないなら近くのスーパーなどでもらってくるといいだろう。また、どうしてもダンボールが用意できない場合には、透明のビニール製ゴミ袋に入れて送ってもいいそうだ。今回はスーパーでもらってきたダンボールに商品を詰めて発送した。面倒なことと言えば、ダンボールを手に入れることと梱包することぐらいで、それ以外は手軽だった。

 発送の翌日、さっそくパソコンリサイクルセンターからAmazonギフト券のコードが書かれたメールが届いた。スピーディな対応にびっくりだ。そして、データ消去証明書は土日を挟んで4日後に届いた。データ消去証明書には請求書も同封されていたので、代金を指定の口座に振り込み、手続きが完了した。

今回は、「処分サービス+Amazonギフト券」を利用し、「データ消去証明書発行サービス」も申し込むことにした。これらサービス利用時には、ホームページから申込用紙を印刷し、必要事項を記入して処分製品に貼り付けて送る必要がある
発送時の梱包方法はホームページに詳しく書かれているので、その指示に従って送る
発送製品はエアキャップなどでしっかりるくんで梱包
オプションサービスの申込書を製品に貼り付ける
一緒に処分してもらう製品とともにダンボールに梱包
今回は「処分サービス+Amazonギフト券」を利用するため、発払いで発送
発送前の事前連絡は不要。そのまま宅配業者に引き渡せばいい
発送翌日には、Amazonギフト券のコードが書かれたメールが届いた
発送から土日を挟んで4日後に届いたデータ消去証明書。データ消去作業を行なった日付に、PCやHDDの型番とシリアルナンバー、HDDの消去方法が記載されている。別途オプションサービスの請求書も同封され、指定口座に代金を振り込めば全ての手続き完了となる

 今回、パソコンリサイクルセンターで不要なノートPCや家電製品を処分してみたが、連絡不要で処分製品を送るだけというのは非常に手軽だった。また、HDDのデータ消去など、情報流出防止もしっかりとした対策が取られており、安心して処分を任せられると感じた。

 先に述べたとおり、2003年以降のPCならリサイクルは無償でできる。だが、パソコンリサイクルセンターようなサービスも便利で1つの選択肢となり得るだろう。PC以外の家電製品を同時に処分してもらえるのも嬉しいし、送料も含めて無料で処分してもらえたり、Amazonギフト券がもらえるサービスが用意されるなど、コスト的な魅力もある。XP PCなどの処分に困っているなら、利用を検討してみてはいかがだろう。

 なお、法人の場合は、事前の契約や証明書の発行対応ができる同社運営の「オフィサイクル」というサービスもある。

(平澤 寿康)