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確定申告を少しでも楽に。ベテランライターが実際に使っているe-Taxの必需品

個人事業主のみなさん、今年のこの季節がやってまいりました

 今年も確定申告の時期がやってきた。筆者はフリーランス、日本語で言えば個人事業主を始めて10年ちょいで、確定申告は最初からe-Taxを利用している。昔は住民基本台帳カードを使い、出来の悪いUIに悩まされたものだが、今は各方面で改善して確定申告も間違いなく楽になった(まだまだ改善の余地はあると思うが)。

 今回は筆者のe-Taxおよび個人事業主ジャーナリストの経験から、e-Taxとそれに関わる処理にあると便利なデバイスを紹介していく。

会計処理にあると便利なもの

 e-Taxを利用する前に、まずは手元の会計処理を済ませる必要がある。会計処理に使用するソフトやサービスはさまざまあるが、収入や支出を入力する作業は発生する。筆者は青色申告のためにExcelで帳簿を付けており、基本的に全ての数字を手入力している。

 帳簿に入力するデータは、業務に関わる経費全般。原稿料が振り込まれる銀行通帳やクレジットカードの支払履歴、実物・電子入り混じった領収書類に、光熱費やインターネット・携帯電話の利用料などなど多数ある。それらを適切に仕分けて入力していく。

 となると最初に困るのが、ディスプレイの表示領域。Excelに銀行のオンライン通帳、クレジットカードの履歴に、会計処理の調べもののためのWebブラウザなどなど、多数のウィンドウが開いた状態での作業になる。ウィンドウが重なるだけでデータの視認性が落ちるので、なるべく高解像度のディスプレイがあった方がいい。

 筆者の場合、以前はフルHDのディスプレイを使っていて面倒に感じたことがあったが、今は4Kディスプレイを導入して表示領域に不満はなくなった。最近は4Kディスプレイの価格もかなり下がってきているので、この機会に置き換えを検討してみるのもいいだろう。

筆者所有の4Kディスプレイ、LG「27UL500-W」。4Kながら安価なベーシックモデル

 「普段はそこまで高解像度じゃなくていい」という方は、ディスプレイをもう1枚用意してデュアルディスプレイにするのも手だ。最近は取り回しのいいモバイルモニターも数多く販売されているので、必要な時だけ出してきて使うという手もある。特にノートPCで会計処理をする方は、モバイルモニターの追加がお手軽だ。

 次に数字を入力するデバイス。そりゃキーボードだろうと思われるかもしれないが、筆者のようにPCゲームをプレイする層ではテンキーのないキーボードの使用率が高い。またノートPCだと、小型のものだとテンキーが搭載されていないものが多い。キーボード上段の数字キーでも入力は可能だが、テンキーの方が圧倒的に入力が早い。

 そこで筆者は別途テンキーを導入。テンキーにもいろいろなタイプがあり、有線・無線の違いやキースイッチの違いなど、選択肢は幅広い。筆者は確定申告の時期だけ使えればいいので、出し入れしやすさを優先してBluetooth接続で小型のものを選んだ。

筆者所有のテンキー、サンワサプライ「NT-BT23BK」。Bluetooth接続で静音キーを採用している

普段の業務にあると便利なもの

 e-Taxによる確定申告の作業は、日々の業務の積み重ねの先にある。会計業務を楽に進めるために、普段からあった方がいいデバイスにも触れていきたい。

 極めて重要度が高いのが、プリンタとスキャナだ。個人事業主をやっていると、取引先なり役所なりとの書類のやり取りがたびたび発生する。最近は電子化が進んで、PDFや画像データで提出を受け付けてくれることもあるが、書類持参を求められることもまだまだ多い。

 個人向けのプリンタと言えば一般的にはインクジェットプリンタだが、筆者はレーザープリンタを使用している。高価だと思われがちだが、A4モノクロでよければ1万円前後で手に入る。

 レーザープリンタの利点はいくつかあるが、長期使用時のトナー(インクジェットプリンタにおけるインクに相当するもの)の消耗に強いことが大きなメリットだ。プリンタの使用頻度がそれほど多くない場合でも、インクジェットプリンタではヘッドクリーニングのためにインクが減っていく。レーザープリンタならその心配は無用だ。

 現に筆者のレーザープリンタはもう10年以上使用しているが、実は購入時からトナーを交換することなく今も元気に(たまにだが)稼働している。

 カラー印刷を頻繁に使うのであればインクジェットプリンタでも構わないと思うし、稀にカラーを使う程度ならコンビニで印刷するなど別の手もある。ちなみにカラーレーザープリンタも2万円台から入手できるので、写真印刷には使わないのであれば検討してみるといいだろう。

筆者所有のモノクロレーザープリンタ、キヤノン「LBP3100」。コンパクトサイズながら文字印刷は高速かつ綺麗だ

 スキャナは書類の電子化に使う。コロナ禍では補助金の申請などでPDFファイルを送信することがよくあったが、スキャナがあれば手書きの書類を簡単にPDF化できる。その他の業務でも、書類を郵送ではなくPDFで送って構わないと言われれば、郵送する手間と経費を減らせる。筆者の経験だと、書類に押印してPDFで送れと言われ、プリントアウトして押印してスキャンしたこともある……。

 さらに提出して手元からなくなってしまう書類をスキャンして保存しておくことで、次に同じような手続きが発生した時や、書類の不備があった際などに、提出した書類の内容を手元で確認できる。筆者は基本的に、公私ともあらゆる提出書類はスキャンして保存してある。

 またスキャナとプリンタがあれば、自宅でコピーを取れるので何かと重宝する。スキャナで読み込んで保存せずに直接印刷という操作も、スキャナ付属のソフトで難なく行なえる。

 確定申告に絡んで考えると、電子帳簿保存法の義務化に合わせて紙の書類も電子化して保存したいなら、スキャナは必須だ。義務化といっても紙の書類の電子化が必須になるわけではないが、この先何年も保存する書類を極力減らしたいという人は活用するといい。

 機材としては、安価なフラットベッドスキャナでも書類の読み取りには十分。多くの書類を読み取るならドキュメントスキャナも欲しいが、フラットベッドスキャナでも複数枚の書類を1つのPDFファイルにはできるので、使用頻度で判断したい。

筆者所有のフラッドベッドスキャナ、キヤノン「CanoScan LiDE 200」。USB給電で小型の製品だが、書類の読み取り程度には十分な性能

e-TaxならICカードリーダが必要?実はスマホがあれば大丈夫

 e-Taxを利用するにはマイナンバーカードを使うのが一般的だろう。自宅でマイナンバーカードを読み取るためには、ICカードリーダが必要だ。筆者はマイナンバーカードができる以前の、住民基本台帳カードの頃からe-Taxを利用しており、接触式ICカードリーダを所有している。

 このICカードリーダはマイナンバーカードでも使用できるのだが、実は現在はICカードリーダがなくてもe-Taxを利用できる。スマートフォンに「マイナポータル」アプリをインストールすると、スマートフォンをICカードリーダ代わりにして、e-Taxを利用できる。

 具体的には、PCでe-TaxのWebサイトを開いた後、スマートフォンでマイナンバーカードを読み取る手順を選択すると、「マイナポータル」アプリで読み取るQRコードが表示される。アプリからQRコードを読み込んだ後、スマートフォンにマイナンバーカードを当てて読み取ることで、e-Taxにログインできる。

PCからe-TaxのWebサイトを開くと、マイナンバーカードをスマートフォンで読み取るという項目がある
選択すると、画面にQRコードが表示される
スマートフォンの「マイナポータル」アプリでQRコードを読み取る
マイナンバーカードの利用者証明用電子証明書のパスワードを入力。e-Taxでは頻繁に使うので忘れないように
マイナンバーカードをスマートフォンで読み取れば、PC側でログインが完了する

 利用にはカメラとNFC機能を搭載したスマートフォンが必要になるが、現在はほとんどのスマートフォンに搭載されているはずだ。つまりスマートフォンを持っていれば、ICカードリーダを別途用意する必要はない。何ならスマートフォンからe-Tax自体も利用可能だ(筆者はPCでしか使ったことはないが)。

 なおICカードリーダは現在も販売されている。スマートフォンでQRコードを読み取って……という作業をするより、マイナンバーカードをICカードリーダに挿す方が作業的には直感的なので、好みに応じて導入するといい。ただ筆者はe-Tax以外で接触式ICカードリーダを利用したことはなく、使い道は少ない。

筆者所有の接触式ICカードリーダ、NTTコミュニケーションズ製「SCR3310-NTTCom」。e-Taxには定番の製品で今も使えるが、もうなくても構わない

憂鬱な申告作業を少しでも楽に済ませよう

 筆者のような個人事業主だと、普段の業務を進めつつ確定申告を行なうことになる。どんどん後回しにしたところで作業量が減るわけでもなく、放置しすぎれば法に触れるわけで、この時期はとても憂鬱になる。毎度1日は徹夜して作業を終わらせている気がする。「常日頃から経理処理をやっておけ」と言われたら全く反論できないのだが、筆者と同じような方も数多くいらっしゃると思う。

 また今年からe-Taxに挑戦してみようという方もいらっしゃるだろう。自分で確定申告するのはとても大変な作業だし、特に初めてだと何が分からないのかも分からない状態に陥りがちだ。それでも自らの商いをチェックし、見直す時間が取れる貴重な機会であることは確かなので、臆せず挑戦していただきたい。1回やってみれば次回は格段に楽になる。

 その作業を少しでも楽にしていただきたく、本稿をしたためた。筆者のやり方はおそらく原始的で、もっと便利な手順やサービスもあるとは思う。特に今回はインボイス制度の導入により、一段と厄介になったタイミングだ。作業を少しでも楽にできる情報をお持ちの方はぜひ共有していただいて、3月15日期限のこの山をともに乗り越えていければと願う。