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Adobeの画像生成AI「Firefly」、画像を使って構図やレイアウトを指示できる機能

Fireflyの構成参照の機能で、既存の部屋の画像を参照して、部屋をまるごと再デザインしているところ

 Adobeは、3月26日~3月28日(現地時間)に米国ネバダ州ラスベガス市の会場で、同社のデジタルマーケティングツール「Adobe Experience Cloud」に関する年次イベント「Adobe Summit」を開催している。初日となった3月26日には、午前中から同社CEOシャンタヌ・ナラヤン氏などの同社幹部が参加して基調講演が行なわれている。

 そうした中でAdobeは報道発表を行ない、同社がWebアプリケーションとして提供しているFireflyのText to Imageモジュール(いわゆるプロンプト)に、画像の構造を参照して画像生成に適用できる「構成参照」(Structure Reference)機能を追加すると明らかにした。以前から提供されてきた「スタイル参照」に加えて利用することで、Fireflyを利用したコンテンツ生成がさらに柔軟にできるようになる。

FireflyのWebアプリで構成参照が可能に。イメージ画像を指定するだけで思い通りの画像を生成

Fireflyの構成参照をWebアプリで利用している様子

 Adobeは、2023年のAdobe Summitのタイミングで生成AIの「Adobe Firefly」を発表し、こうした生成AIとしてはめずらしい権利関係をクリアにして商用で利用できるツールとして大きな注目を集めた。

 Fireflyは登場から1年がたち、全世界で65億枚以上の画像を生成するなど、商用のサービスとしては記録的な速さで利用が進んでいるとAdobeは説明している。日本ではこうしたFireflyの1周年を記念したイベントも行なわれている。

 そうした中で、グローバルでも1周年を迎えたFireflyの機能アップデートが明らかにされた。Adobeによれば、追加されたのはFireflyのText to Imageモジュール(いわゆるプロンプトと呼ばれるもの)に、「構成参照」(英語ではStructure Reference)機能が追加される。

 構成参照機能は、簡単に言えば既存の画像の構図などを参照して、その構造や構図を応用して画像を生成する機能。たとえば、プロンプトで詳細を指定しなくても、こんな構図の画像を生成してほしいというイメージの画像を指定することで、生成AIがその画像の構造や構図を解析し、自動で生成される画像に適用する。これにより、利用者はプロンプトに詳しい指示をしなくても、レイアウト、被写体の構造や姿勢などのイメージ画像から、生成AIに画像生成してもらうことが可能になる。

風景画像の構造を参照して、新しい風景画像を生成している様子

 すでにAdobeは同様の機能として「スタイル参照」(Style Reference)という、画像のスタイル(画家で言えば画風)を参照する機能を提供してきたが、構成参照はそれに追加してプロンプトで使えるようになる。

 この構成参照の機能は、すでに無償版および有償版のサブスクリプションを契約しているユーザーがFireflyのWebアプリを使う場合に利用可能になっているとAdobeでは説明している。

【3月28日修正】Structure Referenceの訳を初出時は「構造参照」としていましたが、Adobe日本法人が発表後に出したBlogでは「構成参照」としているため、「構造参照」を「構成参照」に変更しました。

大企業向けにAPIやカスタムモデルを提供。Copilot for Microsoft 365との連携も

 また、Adobeは、FireflyをAPI経由で利用できる「Firefly Services」と「Custom Models」という、Fireflyを大企業が利用する場合に重要な機能を発表した。

 AdobeはこれまでFireflyの機能を、Webアプリケーション、Photoshopなどのデスクトップアプリケーションの一部機能として提供してきた。今回発表されたFirefly Servicesはそれをさらに一歩進めるもので、大企業などがAPIを経由してFireflyのコンテンツ生成機能を自社のアプリケーションに統合することが可能になる。Adobeによれば、20以上のAPI、ツール、サービスなどを活用してFireflyの機能を自社のコンテンツ生成プロセスなどに統合できるという。

 Custom Modelsでは、大企業がFireflyのモデルをベースに、自社のデータセットで学習させてカスタマイズできる。その学習済みのカスタムモデルを全社的に共有することで、従業員が企業のイメージを反映した画像を生成する時などに、ブランドの一貫性を維持したままコンテンツを生成できるようになる。

 たとえば、自社でゆるキャラのキャラクターをもっている場合、そのゆるキャラのデータセットで学習したモデルを作っておくことで、そのゆるキャラのイメージを壊さないような画像を生成するといった使い方が可能になる。

 さらにAdobeは、Adobe Experience Cloudのワークフローとインサイトを、Microsoftの「Copilot for Microsoft 365」に接続して利用できるようにする計画を明らかにした。

 大企業のデジタルマーケティングの現場では、Adobeが提供するAdobe Experience Cloudと、Microsoftが提供するMicrosoft 365およびその生成AI機能であるCopilot for Microsoft 365の間を行ったり来たりしながら作業が行なわれている。

 たとえば電子メールはOutlookを使い、Web会議はTeamsを使いながら、マーケティング効果の測定にはAdobeのCustomer Journey Analyticsを使うといった、混合した使い方が一般的だ。

 今回の両社の提携では、そうしたAdobe Experience Cloudで提供されるデータと、Microsoft 365で提供されるDynamics 365とを組み合わせて、より効率のよいデータの分析などが可能になり、企業内でコンテンツを作成するマーケターの生産性向上を目指すのが狙いだ。