RIVA TNT2のパフォーマンスを徹底検証する



 この春はグラフィックアクセラレータの当たりの季節と言ってよいほど、多くのビデオチップベンダーからグラフィックアクセラレータがリリースされている。ビデオチップのベンダーは主なところだけでも5、6社あり、その生き残り競争は激しさを増すばかりだ。前々回は、3dfxから発売されたVoodoo3を2製品取り上げた。今回は、5月1日号のAKIBA PC Hotline!で秋葉原でも販売が始まったと報じたばかりのNVIDIAのRIVA TNT2を搭載したビデオカードについて検証していきたい。



■ 出そろいつつある新世代グラフィックアクセラレータ

 RIVA TNT2の話に入る前に、この春に出そろった新世代のグラフィックアクセラレータについて整理しておこう。3月から4月にかけて各社から続々と発売されたグラフィックスアクセラレータは大きく分けて2つのカテゴリに分けることができる。

 1つ目のグループはハイエンド指向の製品で、ビデオカードレベルでの市場価格が2万円~3万円程度に位置する製品だ。この部類に属するのが今回紹介するNVIDIAのRIVA TNT2、前々回紹介したVoodoo3、以前元麻布氏の「元麻布春男の週刊PCホットライン」で紹介されたATI TechnologiesのRAGE 128シリーズ、そして3月に発表されたばかりのMatrox GraphicsのMatrox G400の4製品だ。これらの製品の特徴は、(Voodoo3を除いて)いずれも32MBのビデオメモリを搭載しており、高い解像度における3D表示品質や3D描画性能を追求した製品であることだ。
 このうち、Matrox G400はビデオチップが発表されただけで、実際に登場するのは早くても7月と言われており、現時点での選択肢からははずさざるを得ない。となると、RIVA TNT2、Voodoo3、RAGE 128という3つのグラフィックアクセラレータを搭載した製品が、ハイエンドユーザーのターゲットということになるだろう。

 もう1つのカテゴリはコストパフォーマンスを追求したタイプで、S3のSavage4やIntelから先日発表されたばかりのIntel752、NVIDIAのローコスト版TNT2と言えるVantaなどがこれに該当する。これらはビデオカードの市場価格が1万円から2万円の間に位置しており、コストパフォーマンスに優れていると言える。

 さて、今回取り上げるのはRIVA TNT2とVantaだ。RIVA TNT2は基本的にはRIVA TNTと同じアーキテクチャ(Twin Texel Architecture)を採用し、製造プロセスを0.35μmから0.25μmに変更することで、より高いクロックで動作させることができるようになったチップだ。ほかにも、最大32MBまでのビデオメモリサポート、AGP 4Xモードのサポートなどもあるが、それらは周辺部分の変更であり、大きなアーキテクチャの変更はない。そうした意味では、RIVA TNTのマイナーバージョンアップ版だといって差し支えがないだろう。VantaはコアこそRIVA TNT2と同等だが、ビデオメモリへのアクセスは64bitに制限されており、ビデオメモリも16MBまでと、RIVA TNT2のローコストバージョンといってよい仕様になっている。


【RIVA TNT2】
【VANTA】


■ 期待のRIVA TNT2が市場に登場

 先ほど述べた今非常にホットなハイエンドグラフィックアクセラレータ3製品(RAGE128、Voodoo3、RIVA TNT2)のうち、一番最後に登場したのがRIVA TNT2で、その登場を待ち望んでいたユーザーも多いことだろう。そうした「RIVA TNT2待ち」を加速したのが、ハードウェア系サイトとしては世界一有名なTom's Hardware Guideに掲載されたRIVA TNT2とVoodoo3の比較記事「NVIDIA TNT2 頑張る! 」という記事だろう。

 この記事の終わりで著者のTom Pabst氏は3dfxが「パフォーマンスリーダーである時代は終わった」という刺激的な結論を導き出している。確かに、Tom Pabst氏が行なったというベンチマークを見ると、いくつかのテストでRIVA TNT2はVoodoo3を上回っている。ならば、RIVA TNT2が出るまで待ったほうがいいのではないかと考えるのが人情というものだ。そこで、大きな「RIVA TNT2待望論」のようなものが、市場を支配し、ビデオカードを購入しようという人の多くはRIVA TNT2を搭載したビデオカードが発売されるのを待ち望んでいたという訳だ。

 さて、5月1日号のAKIBA PC Hotline!で既報の通り、秋葉原で最も最初に発売されたのがinfoMagicのMagic TNT2で、ビデオメモリは32MB(SGRAM)が搭載されている。続いて台湾のビデオカードベンダーLeadtekからWinFast 3D S320IIの16MB版と32MB版(共にSGRAM)の2製品が発売されている。また、台湾のマザーボードベンダーAOpenからはPA3010の16MB(SDRAM)が発売されており、現在秋葉原で入手できるRIVA TNT2搭載のカードは3社4製品と言うことができる(なお、今回は時間の関係上PA3010はレビューすることができなかった)。

● Magic TNT2

 Magic TNT2はMatrox Graphicsの代理店として知られるinfoMagicが発売したRIVATNT2搭載ビデオカードで、ビデオメモリは32MB(SGRAM)を搭載している。Magic TNT2に貼られているシールをはがすと、「WinFast 3D S320II」というシルク印刷を見ることができる。このことから考えて(というより決定的な証拠だと思うが)、MagicTNT2はWinFast 3D S320IIのOEMバージョンだと考えていいだろう。

 なお、Magic TNT2にWinFast 3D S320のドライバは使えなかった。色々違いを探してみると、Magic TNT2はinfoMagicオリジナルのビデオBIOSを搭載していることがわかった。おそらく、S320II用のドライバがビデオBIOSに格納されているベンダー名をチェックしているため、動作しないのだろう。実際のところ、ドライバはLeadtekの表示が削られているが、ユーティリティの機能などもほとんど同じで、(ユーティリティを含めた)ドライバもほぼ同等といっていいだろう。

シールをはがすと、「WinFast 3D S320II」の文字が……
 1つだけ気になったのは、infoMagicの製品には、ドライバのインストーラなどにやや不安定な部分などが見受けられたことだ。CD-ROMをドライブに入れてもオートラン(CD内のプログラムが自動的に起動すること)しないのはご愛敬としても、マニュアル通りにインストールして再起動しても、ドライバはVGAのまま変わらずデバイスマネージャで「RIVA TNT」というドライバを強制的に割り当てないと、利用することができなかった。この問題はP2B、MS-5169という2枚のマザーボードのどちらでも発生した。一番最初に市場に投入するために色々な苦労はあったとは思うが、お金を出して買うユーザーの立場としては「なんでそんなことぐらいもできないんだ!」というのが正直な感想だ。infoMagicはMatrox Graphics製のビデオカードの販売などで実績がない訳ではないだけに、残念なことだ。今後のバージョンアップなどに期待したい。

● Leadtek WinFast 3D S320II

 Leadtekは台湾のビデオカードベンダで、実に多くのグラフィックアクセラレータを採用したビデオカードを発売している。WinFast 3D S320IIとMagic TNT2との違いはビデオ入出力ポートを持っていることで、さらに32MB版はデジタル液晶ディスプレイインターフェイスの標準としてIntelなどを中心に策定されたDDWG準拠のDFPコネクタも装備されている。また、Magic TNT2がビデオメモリとしてSGRAMを採用しているのに対して、SDRAMを搭載している。

 なお、日本におけるLeadtekの代理店はバーテックスリンクであるが、そのためかわざわざバーテックスリンク扱いのマザーボードABIT Computer BH6で問題が発生するかもしれないというシールが貼ってある。筆者はBH6を持っていないため確認できなかったが、少なくともP2Bではそうした問題は発生しなかった。

● Leadtek WinFast 3D S320V

 WinFast 3D S320VはVantaを搭載したビデオカードで、ビデオメモリは16MBを搭載している。なんといっても驚きなのはその価格で、初登場にしていきなり1万円を切っている。ただ、冷静に考えるとRIVA TNTよりグラフィックコアの動作クロックは若干高いものの、メモリバスは64bitとRIVA TNT(128bit)よりも遅い訳だから、当たり前の価格といえなくもない。



■ 憶測が憶測を呼ぶRIVA TNT2のクロック

 RIVA TNT2が登場して以来、話題を呼んでいるのはRIVA TNT2のグラフィックコア、およびビデオメモリの動作クロックだ。実はNVIDIAは公式にはRIVA TNT2の動作クロックを公表していない。NVIDIAが動作クロックを決定するのはビデオカードベンダーだという姿勢を取っているからだ。筆者がビデオカードベンダー数社から聞いた限りだと、「RIVA TNT2のデフォルトのクロックは125MHz。150MHzのバージョンは別途RIVATNT2Ultraと呼ばれる別チップになる」ということだった。しかし、実際に製品が登場してみると、意外とそれが守られてないことがわかった(だからこそNVIDIAは「ビデオカードベンダー次第」と言っているのかもしれないが)。

 例えば、Magic TNT2とWinFast 3D S320IIのコアクロックは、付属ドライバのプロパティで見ると140MHzとなっており、前述の「デフォルト125MHz、Ultraバージョン150MHz」という例に当てはまらない。さらにメモリクロックはもっと謎でMagic TNT2が150MHzなのに対して、S320IIは160MHzとなっている。以下に表にまとめてみよう。

動作クロックコアメモリ
Magic TNT2140MHz150MHz
WinFast 3D S320II140MHz160MHz

 また、Diamond Multimedia Systemsが5月3日に発表したViper V770のプレスリリースを見ると、「デフォルトは150MHzだが、ユーザーの責任で175MHzまであげることができる」という記述まであった。つまり、Viper V770には150MHzでの動作が保証されているRIVA TNT2 Ultraが搭載されているが、何らかの操作で175MHzまであげることができるということなのだろう。
 Diamond Multimedia Systemsのようなメジャーなベンダーまでこの有様なのだから、一体全体何が本当で、何が本当ではないのかよくわからない謎な状況になりつつある。1つだけ言える事はRIVA TNT2のビデオカードを購入する時には、必ずグラフィックコアおよびメモリの動作クロックを確認してからということになるだろう。



■ ベンチマークではVoodoo3にリードを許す

 今回はRIVA TNT2、およびそのライバルと言えるVoodoo3、RAGE 128を比較するために、いくつかのベンチマークを行なってみた。

 基本的にはビデオカードの性能は2Dと3Dに分けて考える必要があるが、3Dに関してはさらに利用するAPIによってパフォーマンスが変わってくる。Windows 98で利用されるAPIは業界標準と言えるDirect3D、3dfxのみがサポートしているGlide、OpenGLの3種類がある。

 現在の3Dゲームはたいていこれらのどれか1つないしは2つをサポートしており、自分の最もやるゲームがどのAPIに対応しているのかで、その評価が変わってくる場合もある。このため3Dに関しては、それぞれのAPIについて描画性能を見ていく必要があるだろう。こうしたことを考慮して、今回は2D、Direct3D、Glide、OpenGLという4つのテスト項目にあったベンチマークをそれぞれ実行していくことにした。

 今回は比較の意味で、Voodoo3 2000/3000、RAGE MAGNUM(RAGE128搭載)、SPECTRA 3200R2(RIVA TNT搭載)、GraphicsBlasterVoodoo2×2(SLIモード)を用意し、それらにおいてもベンチマークを実行してみた。

1. 2Dにおけるパフォーマンス

 2DにおけるパフォーマンスはZiff-Davis,Inc.のWinBench 99 Version 1.1に含まれるGraphics WinMarkテストを使用して計測した。Graphics WinMarkテストには実在のビジネスアプリケーションの実際のコードを利用してビジネスアプリケーションを利用する際の描画能力を計測するBusiness Graphics WinMark 99と、実在のハイエンドアプリケーションのコードを利用するHigh-End Graphics WinMark 99という2つのテストがある。

 結論から言えば、どちらのテストでもほとんどのビデオカードで差がなかった。唯一Vantaを搭載したWinFast 3D S320Vが32bitカラー(1,677万色)で著しいパフォーマンスダウンが見られた。これはVantaのメモリバスが64bitと、他のグラフィックアクセラレータに比べて半分であるためだろう。32bitカラーモードで常用したいユーザーはVantaはさけた方がいいだろう。

【WinMark 99】Business GraphicsHigh-End Graphics
16bit32bit16bit32bit
ATI RAGE MAGNUM174161520511
Magic TNT186181531519
WinFast S320II185179530523
WinFast S320V180112528506
SPECTRA 3200R2180172521514
GraphicsBlasterd/sd/sd/sd/s
Voodoo3 3000182179528517
Voodoo3 2000182177522516

・d/sはその解像度を元々サポートしていないことを意味しています。
・n/aはその解像度はサポートしているはずだが、ビデオメモリ不足などで動作しないことを意味しています。


2. Direct3D対応ゲーム

 3DのAPIとしてDirect3Dだけをサポートしたゲームにおける性能を計測するために利用したのは、FutureMark社の3DMark99 Maxだ。3DMark99 MaxはDirect3Dを利用して、実際のゲームに模した3D画面を描画させて、3Dゲーム利用時の総合的なパフォーマンスを計測するベンチマークだ。解像度は800×600ドット、1,024×768ドット、1,280×1,024ドット、1,600×1,200ドットで、それぞれ16bitカラーと32bitカラーモードで実行した。

 このテストでの勝者はVoodoo3の2製品だ。ほとんどの解像度で、Voodoo3 3000のみならず、Voodoo3 2000までもがRIVA TNT2を若干上回っている。ただ、逆に高い解像度ではこれが逆転しRIVA TNT2がVoodoo3を上回っている。Voodoo3が3D描画時に32bitカラーモードを持っていないことと併せて、高解像度およびフルカラーモードではRIVA TNT2優位ということが言える。意外と厳しい結果になったのはVanta搭載のWinFast 3D S320Vだ。やはり、メモリバスが64bitであることが響いているのだろう。

【3DMark99 Max】800×6001024×7681280×10241600×1200
16bit32bit16bit32bit16bit32bit16bit32bit
ATI RAGE MAGNUM4517335827712186180013121295875
Magic TNT49404461431733982732176018791233
WinFast S320II49294648434335182923n/a1972n/a
WinFast S320V412726232881n/an/an/an/an/a
SPECTRA 3200R245183774309722201902n/a1310n/a
GraphicsBlaster4600d/s3744d/sd/sd/sd/sd/s
Voodoo3 30005002d/s4631d/s3314d/s629d/s
Voodoo3 20005012d/s4229d/s2825d/s558d/s

・d/sはその解像度を元々サポートしていないことを意味しています。
・n/aはその解像度はサポートしているはずだが、ビデオメモリ不足などで動作しないことを意味しています。


3. Glide対応ゲーム

 Glide対応ゲームのほとんどはDirect3Dにも対応しており、Direct3D/Glideのどちらかを選択できるようになっている。Turok2:Seeds of Evilもそうしたゲームで、GlideとDirect3Dのどちらのビデオカードでもプレイすることができる。Turok2は多彩な解像度を持っていることでも知られるが、今回は800×600ドット、1,024×768ドット、1,280×1,024ドットで、それぞれ16bitカラーと32bitカラーで実行した。

 このTurok2におけるパフォーマンスでも、Voodoo3がやや優勢であるということが言えるだろう。特に、Glideを利用した時にはRIVA TNT2に大きな差を付けた。このことから考えて、これまでと同じようにこうしたGlideをサポートしたゲームではVoodoo3が優位になっていると考えていいだろう。

【TUROK2】800×6001024×7681280×1024
16bit16bit/Glide32bit16bit16bit/Glide32bit16bit16bit/Glide32bit
ATI RAGE MAGNUM58.4d/s56.550.5d/s41.332.8d/s22.4
Magic TNT59.4d/s55.957.2d/s45.647.6d/s24.6
WinFast S320II59.1d/s56.557.8d/s48.148.3d/s26.9
WinFast S320V54.6d/s33.543.1d/sn/a25.1d/sn/a
SPECTRA 3200R259.8d/s50.651.1d/s30.233.8d/s16
GraphicsBlaster60.774.8d/s55.161.9d/sd/sd/sd/s
Voodoo3 300060.273.7d/s57.965.5d/s45.645.9d/s
Voodoo3 200060.472.3d/s55.260d/s39.640d/s

・d/sはその解像度を元々サポートしていないことを意味しています。
・n/aはその解像度はサポートしているはずだが、ビデオメモリ不足などで動作しないことを意味しています。


4. OpenGL対応ゲーム

 OpenGLに対応したゲームの代表といえばQuake2だろう。というよりも、Quake2の開発元であるid SOFTWAREはQuake2の前身であるQuakeの描画エンジンを各ゲームベンダにOEM供給しており、それを利用したゲームは意外と多い。今回はQuake2に標準でバンドルされているdemo1.dm2というデモファイルを利用してパフォーマンスを計測した。

 Quake2におけるパフォーマンスでもやはり、Voodoo3がトップだった。やはり、ここでもパフォーマンスリーダーはVoodoo3ということに代わりはないだろう。

【Quake2】800×600
16bit
1024×768
16bit
1152×864
16bit
1280×1024
16bit
ATI RAGE MAGNUM56.936.830.316.7
Magic TNT85.156.946.123.3
WinFast S320II90.364.152.127
WinFast S320V60.336.630.6n/a
SPECTRA 3200R261.339.531.516.6
GraphicsBlaster101.260.4d/sd/s
Voodoo3 3000117.282.167.235.2
Voodoo3 2000105.470.357.529.9

・d/sはその解像度を元々サポートしていないことを意味しています。
・n/aはその解像度はサポートしているはずだが、ビデオメモリ不足などで動作しないことを意味しています。


【テスト環境】
マザーボードASUSTeK Computer P2B
CPUPentium III 500MHz
メモリ128MB(PC/100)
ハードディスクQuantum Fireball EX6.4A

【テスト条件】
各テストでのドライバ設定は基本的にはデフォルト。Turok2とQuake2に関しては V-SYNCの設定は基本的にオフ。
WinBench99:基本的にデフォルト設定のまま
3DMark99 Max:Z-Buffer:16ビット
        FrameBuffer:Triple
        SSE利用
Turok2:基本的にデフォルト設定のまま
Quake2:3dfxのカード以外はDefault OpenGLを選択し、3dfxは3dfx OpenGLを選択。それ以外はデフォルト設定。



■ メジャーブランド登場を待って再戦か?

 以上見てきたように、一般的にユーザーが使うような解像度(800×600ドットおよび1,024×768ドット)では、Voodoo3がパフォーマンスリーダーであることは疑いの余地がないだろう。では、なぜTom's Hardware GuideではRIVA TNT2がNO.1としたのだろうか?

 これにはれっきとした理由がある。Tom's Hardware GuideがテストしたRIVA TNT2のビデオカードは(おそらくNVIDIAから提供された)開発途上のものだった。その開発ボードには現在までのところまだ出荷されていない175MHzのRIVA TNT2が搭載されており、そのバージョンをTom's Hardware GuideではVoodoo3を上回ると言っているのだ。こうした背景を考えると、少なくとも150MHzのRIVA TNT2 Ultraすら出荷されていない現時点ではTom's Hardware Guideのあのレビューはあまり意味があるものではないと言わざるを得ないだろう。

 しかし、決してRIVA TNT2がVoodoo3に劣るなどと言うつもりはない。確かに現時点ではVoodoo3に劣るかもしれないが、今後150MHzのRIVA TNT2 Ultraを採用したビデオカードがでてくれば、状況が変わる可能性もある。

 また、32bitカラーのサポートも見逃せないRIVA TNT2のメリットだ。3dfxでは32bitカラーは性能の低下が著しいのでサポートしないと言っているが、16bitカラーでプレイするのか32bitカラーでプレイするのかを決めるのは3dfxではなくユーザーだ。
 32bitカラーにすることによる表示品質をパフォーマンスよりも重視したいユーザーがいてもいいし、実際筆者もそのひとりだ。そうした点を重視するのであれば、RIVA TNT2は非常によい選択になると思う。

 カノープスのようにドライバのチューニングに関しては定評のあるベンダーからより最適化されたドライバがでれば、さらにパフォーマンスが向上する可能性もある。このように様々なベンダーから入手できる点は、3dfxしか販売しないVoodoo3ではあり得ないRIVA TNT2のメリットと言え、そうした意味ではメジャーなベンダーからRIVA TNT2を搭載したカードが発売された時に、もう一度この結論を考え直す必要がでてくるかもしれない。



【テストしたビデオカード製品情報】
ビデオカード製品名ドライバメーカードライババージョン日付ビデオメモリ
ATI RAGE MAGNUMATI Technologies1.11.60764.1.9932MB
Magic TNTNVIDIA4.11.01.01183.24.9932MB
WinFast S320IINVIDIA4.11.01.01183.16.9916MB
WinFast S320VNVIDIA4.11.01.01093.16.9916MB
SPECTRA 3200R2Canopus4.10.01.0107-2.00.01日付なし16MB
GraphicsBlaster
Voodoo2(SLI)
3dfx4.11.01.0350-2.181.19.9916MB
Voodoo3 30003dfx4.11.01.0441-1.004.28.9916MB
Voodoo3 20003dfx4.11.01.0441-1.004.28.9916MB

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【5月1日号】RIVA TNT2とVanta搭載の最新ビデオカードが3社から登場
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