鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」
第57回:11月24日~11月27日


■■キーワードが含まれる記事名
●キーワード

【お知らせ】 次週の「先週のキーワード」はお休みをいただきます。次回掲載は12月17日となります。ご了承ください。(編集部)


11月24日

■■法林岳之の非同期通信レポート 第40回
  COMDEX/Fall '98 Telecomレポート モデム・TA編
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981124/comdex23.htm

V.90
ブイキュウジュウ

 '98年にITU-Tによって標準化された、一般公衆回線を使って下り方向56kbps、上り方向33.6kbpsまでの通信速度を実現する、一対のデジタルモデムとアナログモデムの規格。

 V.90は、U.S. Robotics(現3Com)陣営が推進するx2技術と、Rockwell陣営が推進するK56flex技術を一本化する形で誕生した国際規格である。これまでのモデムは、対向するモデムがともに、アナログ回線に接続したアナログモデムであったのに対し、V.90では一方にデジタルモデムを使用し、ISDNなどのデジタル回線に接続することが前提となっている。このデジタルモデムは、デジタル回線の通話に使われている音声符号化方式G.711の信号(※1)を直接生成し、送信用に符号化したデータをマッピングして送り出す。インターフェイスの違いを除けば、中身はV.34(一般に使われている最大36kbpsまでのアナログモデム)と良く似た仕様なのだが、アナログ-アナログの通信と違い、送信側ではD/A(Digital to Analog)変換を行なわず、受信側の中継局までデジタルのまま伝送されるので、信号の劣化を最小限に抑えることができる。最大57kbps(※2)という通信速度は、この様な構成を前提に成り立っている。

 もう一方のアナログモデム側(一般に売られているV.90モデムはこのタイプ)は、送信にV.34をそのまま使用。局でG.711のPCM信号にエンコードされ、デジタルモデム側に伝送される。したがって、アナログモデムからの送信は、これまでどおりの最大36kbpsまでとなる。

 V.90モデムは、接続時にV.34モデムと同じV.8というスタートアップシーケンスを使用しており、通常のアナログモデムと対向した際には、V.34モデムとして動作することが可能である。が同じ56kbpsモデムではあっても、x2やK56flexとは、スタートアップシーケンスや変調パラメータ、その受け渡し方法などが異なるため、これらとの互換モードを備えていないと56kbpsで接続することはできない。

□ITU-T(International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector~国際電気通信連合電気通信標準化部門)
http://www.itu.int/ITU-T/
【参考】
□x2、K56flex
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971209/key10.htm#x2
□PCM、サンプリングレート、量子化ビット
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980917/key46.htm#PCM



 
■■COMDEX/Fall '98会場レポート8
  ソニーの新コンセプト機SMAP、Giga-ByteのノートPCなど
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981124/comdex18.htm

MD DATA
エムディーデータ

 ソニーが開発した、音楽用のMD(MiniDisc)を応用したリムーバブルディスク。
 高温になると磁性体が保磁力を失うという性質を利用して記録する、MO(Magneto Optical disk~光磁気ディスク)と同じ記録方式を用いたストレジだが、一般的なMOが光変調方式(LIM~Light Intensity Modulation)を使用するのに対し、MDでは磁界変調方式(MFM~Magnetic Field Modulation)を採用している。光変調方式は、メディアに一定の磁界をかけておき、レーザーのON/OFFで、部分的に磁化して行くスタイルで、1回のプロセスで磁性体を一方向にしか整列できないため、消去と書き込みの2プロセスを要する。MDが採用している磁界変調方式では、メディアに一定のレーザー光を照射しておき、磁界の方向を変えて記録していくので、書き込みを1プロセスで完了できるという特徴がある(※1)

 使用するメディアはMDと同じ2.5インチで、容量は140MB。通常の書き換え型のほかに、再生専用領域を持つパーシャルROM型と、読み出し専用のフルROM型が用意されている。

【参考】
□MO
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981112/key54.htm#MO
□ダイレクトオーバーライト
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980224/key19.htm#DirectOverWrite


11月26日

■■プラネックス、14,800円のデュアルスピードハブ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981126/planex.htm

デュアルスピードハブ(dual speed hub)

 2種類の伝送速度をサポートするHUB。一般には、10Mbpsの10Base-Tと100Mbpsの100Base-TXの両方に対応した製品を指す。

 Ethernetの規格である10Base-Tと100Base-TXは、物理的には同じメディア(※1)を使用しているが、伝送速度が異なるため、そのままでは相互に接続できない。デュアルスピードハブは、これら両方の速度をサポートしており、10M-100M間をブリッジ(あるいはスイッチング)することによって、混在環境での運用をサポートする。

カテゴリ伝送特性
1~1Mbps
2~2Mbps
3~16Mbps
4~20Mbps
5~100Mbps

□HUB
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980519/key30.htm#HUB
□100Base-TX
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980421/key27.htm#100base
□ブリッジ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971202/key9.htm#brouter



 
■■沖データ、10Base-T対応のA4ページプリンタ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981126/oki.htm

LED方式
エルイーディほうしき

 電子写真方式のページプリンタで、光源にLEDへッドを使用するタイプ。

 電子写真方式は、複写機と同じ光伝導性(半導体や絶縁体に光を当てると電気伝導率が増加する現象)と静電引力を応用した印刷方式である(※1)

 感光体を塗布したドラムを帯電させ、そこに光を使ってプリントイメージを描画。光の当たった部分の電荷が消失して、ドラム上にプリントイメージの電荷パターン(静電潜像)が形成される。これにトナーを付着させ、着いたトナーを紙に転写、熱を加えて定着させることによって、プリントイメージを印刷している。

 感光体の露光にはいくつかの方式があり、電流によって発光するLED(Light Emitting Diode~発光ダイオード)を並べたヘッドを使用するものをLED方式と呼んでいる。電子写真方式のページプリンタは、しばしばレーザープリンタという名で総称されるが、レーザープリンタは、露光にレーザー光を使用するタイプを指す。ほかには、蛍光灯を液晶シャッターで遮る液晶シャッター方式というのもある。

[Text by 鈴木直美]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp