鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」
第55回:11月9日~11月13日


■■キーワードが含まれる記事名
●キーワード


11月9日

■■アライドテレシス、U点をACアダプタに設けた低価格ダイアルアップルータ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981109/allied.htm

U点
ユーテン

 ISDN(INSネット64)の加入者線インターフェイス。
 ISDNは、通常のアナログ回線に使用している2線のメタルケーブルをそのまま使い、64kbpsの情報チャンネル(Bチャンネル)2本と、16kbpsの信号チャンネル(Dチャンネル)1本分の双方向デジタル通信を行なう。
 局と加入者宅間では、一定時間ごとに伝送方向を切り替えて交互に送信する時分割方向制御伝送方式(TCM~Time Compression Multiplexing~ピンポン伝送方式とも)と呼ばれる伝送方式が用いられ、1回路しかない回線で双方向の通信を実現している。

 U点はこのTCMによる2線式のインターフェイスで、通常は6ピン(中央の2ピンを使用)のモジュラージャックの形で物理的なインターフェイスが用意され、ここにDSU(Digital Service Unit)を接続する。DSUはこれを、端末用のユーザー網インターフェイス(Iインターフェイスとも)に変換し、ここに、ISDN電話機やTA等の端末が接続される。ユーザ網インターフェイスは、4線式の時分割双方向伝送方式(送受は個別の回路を使って同時に行ないチャンネルを時分割で多重化している)のインターフェイスで、物理的には8ピンのモジュラージャックを使用。こちらは、S/T点と呼ばれている。

【参考】
□DSU
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980113/key13.htm#dsu
□S/T点
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971028/key4.htm#s/t_ten


11月11日

■■'98国際放送機器展開幕、地上波デジタルのパイロット放送をデモ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981111/bee.htm

DVコーデック (DV codec)
ディーブイコーデック

 民生向けのデジタルビデオ規格「DV」に使われているコーデック(CODEC~COmpression/DECompression~データの圧縮符号化と複号化を行なうハードウェアやソフトウェア)。

 DVコーデックは、MPEGやMotion-JPEGのフレーム内圧縮(各フレームを静止画として圧縮)、あるいはJPEGの圧縮方式とほぼ同じ方式が使われている。元データは、輝度を13.5MHz、2つの色差をそれぞれ3.375MHzでサンプリングし(720×480ピクセルのフレームを、輝度4ピクセルに対し2つの色差を1ピクセルずつの割合でサンプリングしたものに相当)、各8bitで量子化したものである。生のデータ量は以下のようになる。
 (13.5 + 3.375 + 3.375) × 8 = 162Mbps
 これから不要なブランキング部分を除いた127Mbps分を、JPEG等と同じ離散コサイン変換(DCT:Discrete Cosine Transform)し、視覚的に影響の少ない部分を中心に情報量削減。1/5の25Mbps程度にまで圧縮する。MPEGのようなフレーム間圧縮(前後のフレームの相関関係を利用した圧縮)は使用せず、オーディオデータに関しても無圧縮のまま扱われている。ちなみに10万円前後のDVキャプチャカードは、DV端子に接続するためのIEEE-1394インターフェイスカードに、DVデータをハンドリングするためのソフトウェアを組み合わせたスタイルの製品で、このクラスのDVコーデックはソフトウェアで提供されている。

【参考】
□DV
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980428/key28.htm#DV
□JPEG
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980715/key38.htm#JPEG
□MPEG
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981007/key49.htm#MPEG-1
□Motion JPEG
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971125/key8.htm#mjpeg


11月12日

■■Be Inc.、BeOS R4Jを発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981112/beos.htm

モックアップ (mock-up)

 製品の開発中に、デザイン等をより実際的に検討するために作られる実物大の模型。一般に、木材や粘土などの加工しやすい素材を使って外観を(車などの大型のものは内装も)整えただけのもので、それそのものが機能するわけではない。いわゆる量産に入る前の試作品の方は、プロトタイプ(prototype)という。



 
■■ソニー、ディスプレイのラインナップを一新
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981112/sony.htm

トリニトロン管 (Trintron CRT)

 ソニーが開発した、1ガン3ビーム方式の電子銃とアパチャーグリルを使用した、バーチカルリニアフェースのブラウン管。

 カラーディスプレイは、画面に塗られた3色(赤、緑、青)の蛍光体を、3本の電子ビームを使って次々に正確に発光させ、カラー画像を描いていく。最初に開発されたRCA社のシャドウマスク管では、3本の電子銃を並べ、それぞれの電子ビームを特定の蛍光体に集束させるために、小さな丸い孔が無数に開いたシャドウマスクと呼ばれる色選別機構を使用していた。
 これに対しソニーは、1本の電子銃から3本の電子ビームを出力する1ガン3ビーム方式の電子銃と、アパチャーグリルと呼ばれる縦のストライプ状の色選別機構を開発。画面も、球状のシャドウマスク管と異なり、縦方向が垂直の円筒形で、明るく鮮明な表示を得ることに成功した。

 三位一体(trinity)の電子管(electron tube)から「Trintron」と命名されたこのブラウン管は、'68年のリリース以来、シャドウマスク管と双璧をなす存在だったが、ソニーが持つ基本特許の期限切れに伴い、アパチャーグリルを使った製品が他社からもリリース。ソニーからも、開発当時の特徴とは異なる、3ガン3ビームや、フルフラットフェイスのトリニトロン管等がリリースされており、最近ではアパチャーグリル管というジャンルで括られることが多い。

□ブラウン管発明100年目~進化を続けるトリニトロン(ソニー)
http://www.sony.co.jp/soj/CorporateInfo/SonyFun/topic/trini.html
【参考】
□クロマクリア管
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981112/key54.htm#CromaClear
□AGピッチ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980407/key25.htm#AGpitch

[Text by 鈴木直美]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp