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OCZ、PC-9200水冷メモリや、世界最小1,000W電源など3製品
~ASUSTeK、Shuttleとのオーバークロック協業も開始

OCZ Technology General Manager, APACのScott Suo氏

12月7日(現地時間)発表



 OCZ Technologyは7日、台湾の台北市内でプレスカンファレンスを開催し、同社の主力製品であるメモリを始めとするオーバークロック向け製品を発表した。ここでは新製品の紹介に加え、ASUSTeK、Shuttleとのオーバークロック向けソリューションにおける協力関係も発表されている。

 OCZといえば、日本では主にオーバークロック向けメモリで名を馳せているメーカーだが、現在、ゲーマーを中心とするハイパフォーマンス(エンスージアスト)向け市場に「メモリ」、「パワー」、「クーリング」の3つに焦点を当てた製品開発を行なっている。

 同社はオーバークロックメモリで有名なだけに、CorsairやGeILなどと比較されることが多いが、同社APAC担当General ManagerのScott Suo氏によれば「我々は製品の会社というよりは、テクノロジの会社である点で、これらの会社とは違う」と、その技術力の高さをアピールしている。

●オーバークロック市場向けに発表された3製品

 今回、OCZから発表された製品はメモリ、電源ユニット、水冷ヘッドの3製品。メモリの新製品となるのが「Flex-XLC」で、“世界でもっとも高速な動作が可能なメモリ”というPC2-9200対応メモリ。8層基板を採用し、標準クロックは800MHzだが、2.35Vで1,150MHz(5-5-5-15)でのオーバークロック動作をOCZが確認しており、2.5V駆動も可能という。

新製品を紹介するVP of Marketing and Communications, HeadquartersのAlex Mei氏

 その大きな特徴は、ヒートスプレッダというよりは、ヒートシンクと呼ぶにふさわしい大型の冷却パーツを装備している点で、ここには水冷キットを接続することができる。つまり、ヒートスプレッダが水冷のラジエータの役割を兼ねている。もちろん空冷での利用も可能で、空冷時も1,150MHz動作は可能という。

 電源ユニットは「ProXStream」という製品名で、4本の12Vラインを備えた1,000W電源でありながらATXの標準的なサイズに収まっているのが特徴。現在発売されているATX対応1,000Wクラスの電源の多くは、ATXのネジ穴に準拠していても奥行きが長い製品が多く、ケースを選ぶのが難点。

 今回、製品の展示がなく、どの程度の大きさに収まっているか確認できなかったものの、こうした難点を解決できる可能性は高く、利用が容易な1,000Wクラス電源の先駆的製品になり得る存在といえそうだ。同社では本製品を“世界でもっとも小さい1,000W電源”としている。

 最後に発表されたのは、まだプロトタイプだが、コードネーム「Silver Array」と呼ばれる水冷ヘッド。その名からも想像できる通り、CPUと接触する部分に銀を埋め込んでいるのが特徴。

 水冷ヘッドでは、熱伝導率とコストのバランスから、CPUとの接触面に銅を利用することが多いが、銅よりも高い熱伝導率を持つ銀を利用することで、効率を上げることができる。

 もっとも、全面的に銀を利用しているわけではなく、銅製のベースに銀のバーを埋め込んだような構造になっている。銀と水は直接触れるようになっており、銀の熱伝導率は活きそうである。銀を利用することで価格に対する心配もあるが、現時点では見込み価格も明言してもらえなかった。

 このほか、同社では2007年以降、OCZ Technologyブランドでビデオカードを投入することも発表した。まずは、GeForce 8800 GTX搭載製品が投入されるとのことだが、現時点で製品の詳細は明かされず、2007年1月に米国ラスベガスで行なわれるInternational CES 2007において詳細および出荷を発表するとしている。

 クーリングに焦点を当てている同社なので、独自クーラー搭載への期待が高まるが、同社スタッフによれば、最初の世代の製品はリファレンスクーラーを利用したものとなり、次世代以降で独自クーラーを搭載することになるようである。

今回発表された3製品 大型のヒートスプレッダによる空冷だけでなく、水冷利用も可能なメモリである「Flex-XLC」 水冷ラジエータを兼ねたヒートスプレッダにより、水冷/空冷両対応となっている
銀を利用した水冷ヘッドのプロトタイプ「Silver Array」 銅のベースに銀柱を埋め込んだ構造となっている OCZが2007年以降、ビデオカード市場に参入することも表明された

●OCZ、ASUSTeK、Shuttleが協力関係を構築

 オーバークロック市場を牽引していくために、OCZがASUSTeK、Shuttleと協力関係を築いていくことも発表された。

 3社の役割は、OCZがメモリやクーリングアイテムなどの開発を行ない、ASUSTeKはマザーボードなどのプラットフォーム部分でメモリチューニングなどオーバークロック機能が充実したBIOSを実装するゲーマー向け製品を開発。Shuttleがそれらをシステムとして構築していく、という関係になる。

 この発表の場では、ASUSTeK Product ManagerのDerek Yu氏が登壇。先ごろ発表された、NVIDIAのnForce 680i SLIを搭載するゲーマー向けマザーボード「Striker Extreme」をアピールした。

OCZ、ASUSTeK、Shuttleが協力して、オーバークロックのトータルソリューションを提供していく ASUSTeK Product Manager, Product Marketing Dept., Game of Republicシリーズ統括のDerek Yu氏
先日発表された、ASUSTeKの「Striker Extreme」。オーバークロック機能が充実したBIOSを装備するゲーマー向けのnForce 680i SLI搭載製品 オンボードに電源、リセット、CMOSクリアスイッチを備えるほか、リアパネルにPOSTコードを表示するLEDを備えることで、エンスージアストユーザーのニーズを満たせるとする

 Striker ExtremeとCore 2 Duo E6600を組み合わせたシステムのデモも行なわれた。このシステム上に、同マザーボード向けにスペシャルチューニングを施したFlex-XLCを4枚装着し、メモリを1,100MHzを超えるクロックで24時間動作させ続けた。メモリの動作電圧は2.2Vで、メモリパラメータは5-4-4-15となっている。

 ShuttleのSales Division Vice PresidentであるStan Cheng氏も登壇。同社はスモールフォームファクター製品の会社としておなじみであるが、同社が特許を持つ冷却システム「ICE(Integrated Cooling Engine)」に代表されるように、常にクーリングのことも考えてきたという。

 オーバークロックにおいては、パフォーマンスが向上する一方で、発熱や消費電力も上昇してしまうが、同社の持つ熱効率の良いシステムの技術を活かすことで、CPUをオーバークロックする余力が生まれるという。また、同社のIntel向け製品は、高い熱効率によって、バリューからエンスージアスト向けまで、すべてのCPUをサポートできる点もアピールした。

Flex-XLCのオーバークロックデモを解説するOCZ Technology Technical Marketing, HeadquartersのTony Leach氏 Striker Extremeを利用したオーバークロックデモのシステム。CPUはCore 2 Duo E6600をわずかにオーバークロックさせた状態。2.2V動作のFlex-XLC×4枚を1,100MHzにオーバークロックしている。なお電源は本日発表された「ProXStream」ではなく、850Wの別の電源を搭載している このシステムを利用し、4枚構成のFlex-XLCを1,116MHzへオーバークロック。この状態で24時間駆動を実現したという
Shuttle Sales Division Vice PresidentのStan Cheng氏 OCZとShuttleの協力によって生まれた同社のXPC。ベースはCore2対応ベアボーンの「SD37P2」だがオーバークロックBIOSを実装しており、デモシステムではOCZのPC2-8000を搭載していた OCZ、Shuttle、ASUSTeK3社の協力によって生まれた製品。GeForce 8800シリーズのSLIに対応したシステムで、ASUSTeKのStriker ExtremeとOCZ TechnologyのFlex-XLCを利用。内部の写真撮影は許可されなかったが、冷却面ではShuttleのノウハウを利用しており、電源ユニットを5インチベイ上部に置くなどユニークな仕様

□OCZ Technologyのホームページ(英文)
http://www.ocztechnology.com/

(2006年12月7日)

[Reported by 多和田新也]

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