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COMPUTEX会場レポート

【冷却機器編】
ZalmanのReserator 2やThermaltakeの重厚水冷ケース

会期:6月6日~6月10日(現地時間)

会場:Taipei World Trade Center Exhibition Hall 1/2/3
   Taipei International Convention Center



 今回のCOMPUTEXでは、一部の冷却メーカーがブース規模を縮小したり、展示場所を会場からホテルの一室へ移したりと、若干の縮小傾向が見られた。とはいえ、新製品の数は例年に劣らないレベルで、新CPUの発売に伴い、今後も盛り上がりが期待される。

●独自の技術で品質の高さを謳うThermaltake

 Thermaltakeは、CPU/VGA/チップセット用水冷ヘッドの新製品3製品を展示。「Aqua Brazing」の名のついたこれらの製品は、溶接の代わりにブレージング製法と呼ばれる押し出し成形技術を用いることで、水漏れを防止。同社は水冷製品を手がけるようになって3年が経過するが、常に改善を加え、他社にまねできないノウハウを持つに至ったと自負しているそうだ。

 また、ポンプ/ラジエータ/CPUヘッドがセットになった「Silent Water」は「Silent Water II」へと進化。ラジエータ内部の水の通り道に、小さなくぼみを設けることで、冷却性能を高め、ポンプの小型化に成功した。

 ただし、これらの技術の内容をあまり声高に謳うと、他社にまねされてしまうので、あまり表には出せないという台湾メーカーならでは(?)の悩みもあるようだ。

 このほか、水冷製品ではメモリ用やHDD用パーツが用意された「Aqua RX」シリーズが今夏から発売開始となる。

ブレージング製法を採用したAqua Brazingシリーズ。左からCPU用、GPU用、チップセット用 Aqua RXシリーズ。左からメモリ用、CPU用、フローインジケータ、HDD用 こちらもAqua RXシリーズで、チューブを3つに分岐する
ポンプを小型化したSilent Water II(右) 5インチベイ内蔵型のBig Water 760i ATI製リファレンスカード対応のGPU用水枕

 水冷標準装備のケースとして、「Discovery FX」と「Swordsman」の2つが展示。Discovery FXは、フロント下部が自動車のそれのようなデザインとなっているのが特徴で、そこにラジエータを搭載するのも自動車同様だ。

 Swordsmanは、サイドパネルに加え、天板の下にもラジエータを装備。しかも、油圧ダンパーで上に持ち上がるようになっている。これ自体は冷却性能とは関係ないが、とにかく派手な製品だ。

Discovery FX Swordsman

●ラウンドフォルムのCooler Master製品

 Cooler Masterの「Hyper Space」は、円筒形の形状が目を引くヒートパイプ装備のCPUファン。垂直に近い角度のフィンのついたファンにより、風量を増しながらも、19dBと低ノイズを実現。また、吸気した空気は効率よく周辺にも流れる設計となっており、メモリやチップセットの冷却にも寄与するという。電源コネクタは4ピンで、ファン回転数は3段階に調整可能。最大回転数は1,800rpm。

 同じくSpaceが名につく「Space Navi」は、これまたフィンが風船のように丸く配されたユニークな製品。一見するとファンレスのようだが、内部にファンが装備されている。こうすることで冷却性能を上げつつ、ファンに何らかのケーブル等が接触するのを防止する役目もある。

 これら新製品は7月の下旬から8月にかけて発売開始の予定。

Hyper Space Space Navi ファンの回りに小さなダクトをつけ効率を上げるiGreen Cooler

●ZalmanのReseratorに新モデル

 水冷タワーこと「Reserator」は「V2」になり、本体色がシルバーへと変更され、各種水枕が新タイプになっているほか、ビデオメモリ用ヘッドのオプションも追加された。また、同じくファンレスで、方形デザインの「Reserator 2」が登場。フローインジケータやアラームが本体前面に装備され、使い勝手が向上している。

 CPUファンとしては、同社製品として中レベルの冷却性能となる「CNPS8000」シリーズが展示。サイズを優先することで、小型ケースにも収納できる。このほか、AMDのSocket AM2に対応するハイエンド製品「CNPS9500 AM2」なども展示された。

Reserator1 V2 CPU用ヘッド ビデオメモリ用ヘッド
形状を大幅変更したReserator 2 CNPS8000 CNPS9500 AM2

●Scytheは空冷でPentium 4を4.95GHzにオーバークロック

 Scytheは同社製クーラーを使って、おなじみのオーバークロックデモを実施。「Infinity」を使ったデモでは、CeBITの時と異なり製品版の12cmファンを装備することで、冷却性能を高め、Pentium D 940を4.7GHzに、そしてPentium 4 631を4.95GHzにオーバークロックすることで注目を集めていた。今後、このInfinityや、「Mine」などは順次Socket AM2への対応を図っていく。

 プロトタイプとして、同社製品として初めて、上から空気を吹き付けるタイプの「Andy Cooler」(コードネーム)や、SLI対応のファンレスGPUヒートシンク、小型タイプのファンレスCPUヒートシンク「Ninja Micro」などが展示されていた。

Infinityを使ってPentium 4 631を4.95GHzにオーバークロック SLI用ファンレスヒートシンク
Andy Cooler Ninja Micro(右) 銅製フィンを採用したNinja Copper(参考展示)

●日本軽金属製の水冷クーラーをザワードが展示

 ザワードのブースでは、日本軽金属グループで開発中という水冷キットのプロトタイプが展示された。日本軽金属グループ内でもアルミを専門に扱う、日軽金アクトが中心になって開発を進めているもので、もちろん水冷ヘッド、ラジエータともに総アルミ製の製品。

 プロトタイプである現段階でも冷却能力に関しては十分であると説明している。LGA775に対応するヘッドと12cmファンをラジエータに取り付け、150W TDP相当のクロックでCPUを動作させた場合、27dBで0.21度/Wの熱抵抗を実現できているという。

 この低熱抵抗の実現には、同社の解析技術によってヘッド内の水の流れを最適化している点が効を奏しているそうだ。素材の熱伝導という面では銅には勝てないが、成型加工次第では、アルミでも銅に勝る冷却能力を発揮できる製品を作れるとしている。

 また、アルミと銅を組み合わせた製品は、長時間利用すると腐食しやすくなるが、本製品はすべてアルミなので、純水を利用した場合でも腐食しにくいのもメリットだとアピールしている。今後、信頼性向上や、ヘッド部の高さを抑制するなどのデザイン再検討などを進め、来年には発売にこぎつけたいという。

 このほか、ザワードのブースでは、ノートPC向けCPUクーラーの技術を応用したGPUクーラーを展示。こちらも現段階ではプロトタイプで、デザイン等の再検討を行なったうえで、来年にも発売したいとしている。

日本軽金属により開発が進められている水冷キット。総アルミ製が特徴。来年以降にザワードから発売される予定 同じくザワードブースで展示されたGPUクーラーのプロトタイプ。ノートPC用のCPUクーラーの技術を応用した製品

●GIGABYTEは水冷キット内蔵ケースなどの冷却関連新製品を展示

 GIGABYTEは、同社初の水冷キット内蔵ケース「Mercury」を展示した。この製品は、同社製ケースの「3D AURORA」の奥行きを57cmへと伸ばした「3D AURORA 570」という製品をベースに、天板部に水冷キットを内蔵したもの。天板部は10%の容積アップになるが、ケース内をクリアにできることを売りにしている。ラジエータ部は14cmファンを利用するほか、上部からクーラントの注入が可能。前方インジケータで水流の確認なども行なえる。

 また、同社では水冷キットの「3D GALAXY II」も展示。既存モデルとの違いは、ポンプ+タンクの一体化や、水流を各パーツへ分岐するためのスプリッターが追加された点など。いずれも夏までには日本でも発売したいとしている。

 このほか、空冷CPUクーラーの新製品「3D Rocket II」は、8本のヒートパイプを使ったヒートシンクの上下に、2つのファンを取り付けたCPUクーラー。上部のファンは吸出し式になっており、ケース側面のダクトから熱を逃がすことができる点を売りにしていた。こちらも夏までには国内発売が予定されている。

GIGABYTEが展示した水冷ケース「Mercury」。スプリッターも設置済みで、CPUとGPU×2をまとめて冷却することもできる クーラントの注入は上部から可能。前方の円形部分が水流チェックパネルで、製品化に際しては青く光るように変更される予定
水冷キットの「3D GALAXY II」。タンクとポンプを一体化した点と、水流スプリッターの付属が特徴。VRMを冷却するためにヘッド部にファンを取り付けられるなどの仕様は従来モデルと同じだ 空冷クーラーの「3D Rocket II」。写真では見えにくいが、フィンとCPU接触面の間にもファンを搭載している。ファンコントローラが付属しており、パッケージにある「16dB」の文字は2つのファンを最低回転数で回したときのノイズレベルとのこと

●TITANのペルチェクーラー

ペルチェ素子をPCI接続のコントローラによって制御するのが特徴の、TITAN製クーラー「Amanda」。クーラーが自重で傾くのを防ぐための牽引パーツも付属している

 TITANが展示した「Amanda」は、ペルチェ素子を利用したCPUクーラー。PCIスロットに装着するコントローラが付属しており、CPU温度を監視しながらペルチェ素子を制御し、常に最適なCPU温度を実現できるのが特徴。本体の重量が1kgを超える大型製品のため、ケースから吊るすための金具が付属しているのもユニークだ。

□COMPUTEX TAIPEI 2006のホームページ(英文)
http://www.computextaipei.com.tw/

(2006年6月12日)

[Reported by 多和田新也 / wakasugi@impress.co.jp]

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