笠原一輝のユビキタス情報局

Intel、「Centrino Duo」を1月5日に発表へ
~大幅に消費電力が下がるNapaプラットフォーム



8月に米国で行なわれたIntel Developer Forumで公開されたNapaプラットフォームのノートPC

 Intelが開発コードネーム“Napaプラットフォーム”として開発を続けてきた次世代Centrinoモバイル・テクノロジが、2006年1月5日から開催されるInternational CESで発表されることは既報の通りだが、情報筋によれば、Intelは、社長兼CEOのポール・オッテリーニ氏が基調講演を行なう1月5日に正式発表すると通知してきたという。

 それに合わせて、徐々にNapaプラットフォームの詳細も明らかになってきている。本レポートでは、情報筋から寄せられた次世代Centrinoに関する情報をまとめ、次世代Centrinoの姿を明らかにしていきたい。

●4つの新しいブランド名をモバイルPC向けに投入

 すでに冒頭でも述べたとおり、正式な製品発表に関しては米国時間の1月5日に設定された。この日は、ラスベガスで行なわれるInternational CESの初日にあたり、ちょうどIntelのオッテリーニ社長兼CEOの基調講演が行なわれる。この中で、オッテリーニ氏により、次世代Centrinoモバイル・テクノロジ(CMT)は発表されることになる。

 このタイミングに合わせて、Centrinoモバイル・テクノロジというブランド名もリフレッシュされる。CMTのブランド名をかぶせるための条件は、従来と同じようにIntelのCPU、チップセット、無線LANモジュールの3つを揃えるという条件に変わりはないが、デュアルコアを採用したCMTは“Centrino Duo モバイル・テクノロジ”というように、Centrinoの後に“Duo”がつけられることになる。なお、シングルコアのCPUを採用したCMTに関しては、これまで通り“Centrinoモバイル・テクノロジ”が適用されることになる。

 プロセッサとなる開発コードネーム“Yonah”のブランド名も、既報の通り“Intel Core”を採用したものとなるが、デュアルコアのYonahに関しては“Intel Core Duo”、シングルコアのYonahに関しては“Intel Core Solo”というブランド名が採用されることになる。

 なお、ノートPCに貼り付けるIntel Insideのロゴシールに関しては、

・Centrino Duo モバイル・テクノロジ
・Centrinoモバイル・テクノロジ
・Intel Core Duo
・Intel Core Solo

の4つが用意されることになるという。それぞれどの組み合わせて、どのロゴシールが適用になるかは、以下のようになる。

【Napaプラットフォームにおけるブランドの適用(筆者予想)】
CPUCore DuoCore SoloCore DuoCore DuoCore SoloCore Solo
チップセットIntel 945GM/PMIntel 945GM/PMIntel 945GM/PM他社チップセットIntel 945GM/PM他社チップセット
無線LANIntel 3945ABGIntel 3945ABG他社無線LAN他社無線LAN他社無線LAN他社無線LAN
プラットフォームブランドCentrino DuoCentrino----
ロゴシールCentrino DuoCentrinoCore DuoCore DuoCore SoloCore Solo

 なお、ある情報筋によれば、Intelはどのロゴシールが適用になるかで、Intel Inside Program(IIP)のキャッシュバック率に差をつけているという。IIPとは、IntelがOEMベンダ向けに提供している広告費のキャッシュバックプログラムで、広告の中にIntelのロゴ(マシンに張ってあるシールと同じもの)を出すことで、広告費のあるパーセンテージを負担するというものだ。当然のことながら、上記4つのロゴのうち、上に行けば行くほどキャッシュバック率は上昇することになる。

●Intel Core(Yonah)の下限クロックは1GHzに設定

 Intel Core Duo(Yonah DC)、Intel Core Solo(Yonah SC)に関しても徐々に詳しい仕様が明らかになってきた。既報の通り、Intel Coreのクロック周波数は、リリース時には2.13GHz~1.66GHzまでの各製品がリリースされることになる。そして来年の後半には2.33GHzとなるT2700が追加される。

【Intel Core Duo/Soloのクロック周波数、TDPなどの仕様(筆者予想)】
 最高性能モードバッテリ最適モード
ブランドプロセッサナンバクロック熱設計消費電力電圧クロック熱設計消費電力電圧
Intel Core DuoT26002.16GHz31W1.63-1.3V1GHz13.1W0.95V
T25002GHz31W1.63-1.3V1GHz13.1W0.95V
T24001.83GHz31W1.63-1.3V1GHz13.1W0.95V
T23001.66GHz31W1.63-1.3V1GHz13.1W0.95V
L24001.66GHz15W1.21-1V1GHz13.1W0.95V
L23001.5GHz15W1.21-1V1GHz13.1W0.95V
Intel Core SoloT13001.66GHz27W1.63-1.3V1GHz13.1W0.95V

 気になるIntel Core Duo/Soloとも、Tのアルファベットで始まる従来の通常電圧版に関しては、SpeedStepテクノロジ有効時の下限クロックは1GHzに設定される。電圧に関しては、上限クロックが1.63V~1.3V前後で動作するのに対して、下限クロック時には0.95Vに設定されており、上限クロック時の熱設計消費電力が31Wであるのに対して、下限動作時には13.1Wになるという。

 シングルコアのIntel Core Soloに関しては上限クロック時の熱設計消費電力は27Wとなっているが、31WのIntel Core Duoと同じ熱設計が必要になるという。これは、Intel Core Duoの方が熱密度が低いためで、シングルコアでもデュアルコアでもどちらでも同じような熱設計が必要になるという。このため、ノートPCにおける製造コストの観点からは、シングルコアでも、デュアルコアでも同じコストということになる。

●チップセットは導入時にIntel 945GMとPMを投入

 3点セットの残り2点となるチップセットと無線LANに関しても、Napaプラットフォームでは新しい製品が投入される。

 これまで“Calistoga”の開発コードネームで呼ばれてきたIntel Core Duo/Solo用チップセットは、Intel 945GM(グラフィックス内蔵型)とIntel 945PM(単体型)として投入される。サウスブリッジのICH7-Mと組み合わせて利用される両チップセットは、基本的には2005年の5月にデスクトップPC用として投入されたIntel 945G/Pのモバイル版という位置付けになる。システムバスのクロック周波数が、Intel Core Duo/Soloに合わせて667MHzまでに対応していることをのぞけば、Intel 945G/Pと同じ仕様(つまりPCI Express x16、DDR2-667まで対応)となっている。

 内蔵されているグラフィックスコアは、Sonomaプラットフォーム(現行CMT)用のIntel 915GMに内蔵されているDirectX 9に対応した4パイプのピクセルシェーダを備えているIntel GMA 900の後継となるIntel GMA 950へと進化している。ピクセルシェーダの数こそ変わらないものの、動作周波数がIntel 915GMの320MHzから400MHzに引き上げられたほか、VLD/iDCTの処理がハードウェアになるなど、ビデオ周りも強化されている。

 このほか、第2四半期にIntel 945GMZ、Intel 945GMS、バリュー向けのIntel 940GMLが追加される。Intel 945GMSは27×27mmの小型パッケージで、ミニノートPCなどの小型フォームファクター向けとなる。Intel 945GMZは、Intel 945GMの外部PCI Express x16をサポートしないバージョンで、メインストリーム向けとなる。Intel 940GMLもやはり内蔵グラフィックスのみのサポートとなり、かつシステムバスは533MHzのみとなるので、YonahベースのCeleron向けチップセットということになる。

 サウスブリッジとなるICH7-Mには、2つのバージョンが用意されている。通常のICH7-MとICH7-MDHで、Viivテクノロジ対応のノートPCを構成する場合にはICH7-MDHを選択する必要がある。ICH7-MとICH7-MDHの差は、PCI Express x1スロットがICH7-Mは4ポートであるのに対して、ICH7-MDHは6ポートになっている点と、ICH7-MDHがRAID機能をサポートしている点などとなっている。ただし、RAID機能は、Napaのリリース時点では有効にされず、第2四半期以降にソフトウェアアップデートにより有効になる予定だ。

 無線LANモジュールとしては、開発コードネーム“Golan”で呼ばれてきたIntel PRO/Wireless 3945ABGがリリースされる。このIntel PRO/Wireless 3945ABGはIEEE802.11a(5GHz/54Mbps)、IEEE802.11b(2.4GHz/11Mbps)、IEEE802.11g(2.4GHz/54Mbps)の3つの規格に対応しているほか、日本向け製品では新しいIEEE802.11a仕様(といっても国際的な11aの仕様だが)にも対応している。

 なお、このIntel PRO/Wireless 3945ABGは非常にユニークな仕様になっており、PCとの接続には電気的にはPCI Express x1を利用するものの、速度的には1/3のスピードで動かす独自バスを利用する。また、より小型のミニカードサイズのモジュールが用意されるのも特徴といえる。

●プラットフォーム全体でSonomaを大きく下回るNapaプラットフォームの平均消費電力

 エンドユーザーにとって嬉しい話題として、Napaプラットフォーム全体での平均消費電力が、Sonomaプラットフォームを大きく下回っているということが、徐々にわかってきた。

 情報筋によれば、Intelはつい最近OEMメーカーに対してNapaプラットフォームの平均消費電力の最新データを公開したという。IntelがOEMメーカーに対して、Napaプラットフォーム全体の予測平均消費電力はSonomaプラットフォーム全体を下回っていると説明しているということは以前の記事でもお伝えしたのだが、実際にリアルシリコンで計測してみたところ、その予測をも下回っていることがわかってきたという。

 以下の表は、情報筋からもたらされた各コンポーネントの平均消費電力だ。

【SonomaプラットフォームとNapaプラットフォームの平均消費電力の比較(筆者予想)】
 SonomaNapa
CPU1.1W前後1.1W前後
ノースブリッジ内蔵(GM)1.5W前後1W前後
外付(PM)1W前後0.39W前後
サウスブリッジ1.5W前後0.6W前後
無線LAN0.1W0.055W
トータル4.2W前後2.8W前後

 Intel Core Duoの平均消費電力も、当初言われていた1.3Wよりも下がり1.1W前後に収まっている。また、特にチップセットの低下が著しく、グラフィックス内蔵のIntel 945GMで1W、Intel 945PMで0.39W程度であるという。従来のIntel 915GMが1.5W、Intel 915Mが1Wであったことを考えると、大きな改善であると言える。さらにサウスブリッジに関しても、従来の半分程度となっている。

 こうしたこともあり、トータルではSonomaプラットフォームが4.2W前後だったのに対して、Napaプラットフォームでは2.8W前後となっているという。実に1.4Wもの削減になっており、バッテリ駆動時間の延長に大きな貢献を果たすことになるだろう。

 もちろん、デュアルコア化によるパフォーマンスの向上も大きなトピックであるが、日本のノートPCユーザーにとっては、この平均消費電力の減少こそ、もしかするとNapaプラットフォームの最大の恩恵といえるかもしれない。

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【11月22日】【海外】Intelが新ブランド「Intel Core」と「Intel Centrino Duo」を1月に発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/1122/kaigai225.htm
【11月21日】【笠原】Intel、新デュアルコアのブランドネームを“INTEL CORE”と命名へ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/1121/ubiq131.htm
【5月4日】【笠原】見えてきたNapaプラットフォーム
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0504/ubiq111.htm

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(2005年11月28日)

[Reported by 笠原一輝]


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