株式会社メルコ代表取締役 牧 誠氏

　株式会社メルコは、無料で利用可能なホットスポット環境を提供するサービス「FREESPOT」を発表した。

　FREESPOTはIEEE 802.11bを使用した無線LANホットスポットサービス。同社が7月中旬より発売する「FREESPOT導入キット」を設置することで、店舗内や、屋外、公衆エリアなどでホットスポットサービスの提供を可能にするもの。キットの価格は39,800円。PCが苦手なユーザーのための「訪問設定サービス」も無料で受けることができる。常時接続回線については別途契約が必要。

　FREESPOTは、Wi-Fi対応の無線LANパソコンなどをユーザーが持ち込むことで、誰でも無線LANインターネット環境を利用できる。WEPなどは使わず、ユーザー登録も不要。Windows XPであれば標準の無線LAN機能だけで利用できる。

　無料でインターネットを利用できる代わりに、初回接続時にポップアップウィンドウによる広告などが画面に表示されるしくみ。これは、アクセスポイント設置者が登録したURLをポップアップさせるもので、周辺地域の地図や、広告など、オーナー側のニーズに応じた情報を顧客に閲覧してもらうことで、集客力のアップや地域の活性化につなげていく。これによって、公共の場での無料インターネット環境の提供を拡大していくという。

　キットに含まれるFREESPOT専用無線LANアクセスポイントには、同一アクセスポイントにアクセスしたユーザー同士のアクセスを禁止してセキュリティを確保する「Privacy Separator」機能や、店舗の営業時間内だけ無線LANを有効にしたり、ランチタイムのみ無線LANを無効にする設定などが可能な「Access Time Control」機能など、FREESPOTに必要な機能を備える。

　また、店頭でのFREESPOT案内支援ツールとして「FREESPOTサポートキット」も7月下旬から発売される。価格は4,800円。サポートキットには店舗展示用のノボリや、FREESPOT設定ガイド、ステッカー、ポスターなどが含まれ、店頭でのサービス告知などに利用できる。

　FREESPOTは、現在、ヨドバシカメラをはじめ、名古屋の大須電気街、伊勢神宮会館などですでに導入が開始されており、同社では今年度末までに1万箇所以上のFREESPOTエリアを展開する見通しという。

FREESPOT導入キット。FREESPOTへの接続方法などが解説してある三角テント型接続ガイドなども付属する	FREESPOTサポートキット。店舗展示用の「ノボリ」が付属する

　発表冒頭では、株式会社メルコ代表取締役社長の牧 誠氏が今回のプロジェクトについて語り、「現在、家庭や企業内ではネットワーク化が進んでいるが、駅や通勤途上などのネットワーク設備は整備されていない。真のユビキタス社会の実現には公衆電話並の数百万台規模の台数と地域カバーが必要になる。これに対して既存の有料のホットスポットサービスでは普及速度に限界があるのではないかと考えた。そこで無料のホットスポットサービスとして「FREESPOT」を提供することにした」と説明した。

　同氏は、無料のアクセスポイントを提供するには、設置者にもメリットがなくてはならないと説明。そのため、ユーザーがインターネットを利用する際にポップアップで情報を表示する「Popup Technology」を取り入れ、アクセスポイントの提供者側にもメリットがあるシステムとしたという。

ユーザーの利用頻度を考えると、有料接続サービスは300円程度が適正という	FREESPOT無線アクセスポイントの特徴。セキュリティ機能などは最小限にとどめられている	接続時にポップアップする画面のサンプル

　また、システム自体が低コストで導入可能な点についても触れ、「今や月々4,000円もあればなんらかのブロードバンド回線を利用できる。これは喫茶店などで新聞や有線放送を契約する程度の金額と同じくらいのコストにしかならない。これにFREESPOT導入キットを組み合わせるだけで導入が可能だ」と語り、インフラのコスト面でも普及の後押しになっていると解説した。

　同氏は、無料のサービスを提供できる理由として、「有料のサービスでは認証システムや、信頼性、ユーザーサポートなどに膨大なコストがかかる」と説明。FREESPOTではこれらをあえて提供しないことで、コストを削減し、サービスを実現できるようになったという。

　「ただし、このサービスは、既存の有料サービスを潰すという目的はまったくない。共存できるサービスだと考えている」とも語り、「我々はホットスポットを大量に普及させるために、徹底的なコスト削減を考えている。信頼性などにお金を沢山かけないから、安価に大量のホットスポットを設置できるようになる。信頼性やサポートが必要なユーザーは、有料のサービスを利用するし、そうでないユーザーは無料のサービスを利用する」、「これらのコスト削減によって、ホットスポットを大量に展開できると考えている」とコメントした。

　質疑応答では、今後の具体的な導入先などについて質問がされ、「国道の道の駅への導入や、マーケットとして一番大きい、飲食店関係への導入を考えており、これから提案をしていきたい」と答えた。また、すでに導入を開始しているヨドバシカメラでは、順次全国の店舗へ導入される予定という。

□メルコのホームページ
http://www.melcoinc.co.jp
□ニュースリリース
http://buffalo.melcoinc.co.jp/products/new/2002/023_1.html

(2002年7月2日)

[Reported by kiyomiya@impress.co.jp]